大塚商会と日通システム(愛知県名古屋市)が、企業の従業員のストレスの度合いを測定・検査し、そのデータに基づいてメンタルヘルスの不調を事前に予測して、専門医による対応や労働環境の改善などにつなげるシステムの販売を始めた。人事や勤労管理のシステムから、残業時間から離婚、家族との死別まで従業員の精神状態に影響を及ぼしそうな個人情報を抜き出して分析する。

 大塚商会の人事・給与システム「スマイル」シリーズと、ストレス評価システムを組み込んだ日通システムの勤労管理システム「勤次郎」をシームレスに連動させ、新商品「労働環境改善システム」として展開する。

労働環境改善システムの画面イメージ。当該企業全体の比率といった「傾向」を分析
労働環境改善システムの画面イメージ。当該企業全体の比率といった「傾向」を分析

 新システムはまず、人事や勤労管理のシステムの中から、休日出勤の頻度や時間、残業時間、遅刻、欠勤、異動、昇降格、離婚、家族との死別といった、従業員の精神状態に影響を及ぼしそうな個人情報をリアルタイムで抽出。例えば一定の時間以上の残業と労働環境の変化、ライフスタイルの変化などが重なって、定められたアルゴリズムに照らして精神的な負荷が大きいと判定された場合、当該従業員に留意を促すメッセージメールを自動送信する。

 その後、人事労務担当部署や当該従業員が働く部門の責任者との面談を経て、メンタルが不調に陥る可能性があると確認された場合、当該従業員は、最大120のチェック項目シートをシステム上で記入する。システムがストレスの度合いを自動診断して、医師による診断が必要と判定したら、結果を産業医に伝達する。

 産業医はシステムの自動診断結果を参考に当該従業員を診察。例えば、残業時間の軽減や休日の取得、配置転換といった対策を、システムに入力する。人事担当部署は、システムの自動診断結果や産業医の指導に基づいて具体的な対策を実施し、当該従業員がメンタルヘルスの本格的な不調に陥るのを、未然に防ぐことができる。

従業員のストレスチェックが義務化

 昨年6月に改正労働安全衛生法が成立し、従業員50人以上の企業は、今年12月1日から、自社の従業員に対して年1回以上のストレスチェックの実施が義務付けられた。このためストレスチェックを実施するシステムへのニーズは高まることが確実。大塚商会と日通システムは、「人事情報や勤労情報などのデータを監視してリスクを可視化することで、従業員がメンタルヘルスの不調に陥ることを未然に防止できる」(大塚商会システムプロモーション部の瀧場誠部長代理)ことを強みに、「労働環境改善システム」の販売を強化し、一定の市場シェアの獲得を目指す。

 実際、今年に入って開催した、改正労働安全衛生法の趣旨と同システムを解説するセミナーに約350人が参加するなど、「手応えは十分」(日通システムの加村建史・新事業企画部長)のようだ。オンプレミス(組み込み)タイプで60万円(税別)から、またクラウドサービスタイプで従業員1人につき月額利用料320円(同)から、と「人事系のシステムとしては価格を抑えた」(瀧場部長代理)こともあり、主に販売を担う大塚商会は、「既に大塚商会の『スマイル』シリーズを導入している数万社のうち、主に中堅中小企業を対象に営業して、今後1年間で100社の導入を目指す」(瀧場部長代理)。

 今後は、システムの販売を強化しつつ、従業員が記入する最大120のストレスチェック項目のデータなどを蓄積・分析することで、メンタルヘルスの不調に陥る従業員について、企業の部門や部署ごとの傾向や、季節ごとの傾向などを導きだし、「今回、販売を始めたシステムのブラッシュアップや、企業の人事担当部署などに対するコンサルティングビジネスなどの展開に活用したい」(瀧場部長代理)と考えている。