クルマを走らせるだけで、凍結しているのか、乾燥しているのか、道路の表面がどんな状態かを、リアルタイムでより正確に把握する──。ブリヂストンは、道路に絶えず接触しているタイヤにセンサーを埋め込み、そのデータを活用することによって実現しようとしている。これまでは、プロの専門家が実際の道路を歩いて判断していたが、これからはその面倒な作業が不要になる。

 ブリヂストンはここ数年というもの、タイヤに埋め込んだセンサーが収集するリアルタイムのデータから、路面と接触しているタイヤの状態を把握する「タイヤセンシング技術CAIS(カイズ)=Contact Area Information Sensing)の研究開発に取り組んでおり、実用化を目指している。

 センサーで取得するのは、歪みや加速度、圧力、温度などだ。これらのデータを解析することによって、タイヤにかかる荷重・応力を推定したり、路面状態を判別したりできるという。最近ではタイヤの摩耗量を推定する研究開発に取り組んで、昨年秋に研究成果を発表した。

 こうした取り組みの中で実用化が近いのは、路面の状態をリアルタイムで把握する技術だ。とりわけ冬の道路管理業務を効率化するうえで効果が期待されている。北海道内にある高速道路の保全・点検業務に当たっているネクスコ・エンジニアリング北海道(札幌市)と共同で、2011年から路面状態判定技術の実用化に向けて実証実験に取り組んでいる。

路面状態を7段階で判定

 高速道路の路面状態を定期的に点検・管理している雪氷巡回車に路面状態判定装置を搭載。夜間など視界の悪い状況でも、雪氷巡回車を走らせるだけで路面状態を「乾燥」「半湿」「湿潤」「シャーベット」「積雪」「圧雪」「凍結」のどれに相当するのか判定できる。例えば、こうしたリアルタイムの路面情報とGPS(全地球測位システム)による位置情報を凍結防止剤散布車に伝えて、凍結した高速道路に凍結防止剤を効率よく散布することができるようになるという。

 現状の判定精度は約80%。「凍結を乾燥と判定してはいけない。現段階では、より安全ではないほうに判定している。プロの判定者に現場を見てもらって、路面状態判定装置の精度を高める取り組みに当たっている」と、ブリヂストン中央研究所研究第6部の若尾泰通フェローは話す。

 ネクスコ・エンジニアリング北海道の担当者も「まだまだ精度向上が必要。今年の結果を見て実用化の時期など次のステージを考えたい」(同社企画部)と説明する。

 リアルタイムな路面状態をドライバーが共有できれば、スリップ事故の防止などに活用できる。業務での利用が広がりコストが下がれば、一般ドライバーも路面の情報を活用できるようになるはずだ。

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