AVレンタル全国2位のゲオホールディングスは、スマホアプリ会員300万人体制を確立。クーポン発行で4日間で数億円単位の売り上げを増やすなど、反転攻勢をかけようとしている。

 遠藤結蔵社長が「既存店の減収が続いているのは、既存の顧客から『ゲオの店舗はいらない』と言われているようなもの」と強い危機感を本誌に吐露してから約1年。AVレンタル国内2位のゲオホールディングスは、スマホアプリ会員300万人体制を計画よりも前倒しで確立して、反転攻勢をかけようとしている(現在は約330万人)。

 昨年10月10日から4日間、全国のゲオ店舗で利用できる「レンタル映像新作・準新作100円」クーポンをアプリ会員全員に発行したところ、期間中、会員300万人中のクーポン利用率は20%を超えた。クーポンを発行しない場合と比べて、4日間の貸し出し金額は数億円単位で増えたという。

 ゲオでは新作レンタルのクーポンを発行するのは珍しいが、普段は300円前後する新作が100円で借りられるとあって、クーポンを利用するアプリ会員が多かったのではないかとみられている。「クーポン利用率が20%以上というのはすごいこと。一般には5%以下なので、販促手段として強い手応えを感じている」とゲオホールディングス情報管理部情報管理課の冨永潤一氏は話す。

会員を7カテゴリーに分類

 現在、クーポンを利用した人はどんな属性を持ったアプリ会員なのか、分析している。ゲオでは、レンタル利用頻度や客単価などによって、年間約1600万人の顧客を7つのカテゴリーに分類している。「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」「準優良」「一般」「一見」「新規」の7つだ。プラチナからシルバーまでを優良顧客と定義。優良顧客は年間12回以上来店し、年間利用金額が3500円以上の顧客だ。

 プラチナは年間利用額が1万4000円以上、ゴールドは同8000円以上で1万4000円未満、シルバーは同3500円以上で8000円未満。ちなみに準優良は2500円以上で3500円未満、一般は年間の利用が0円から2500円未満、一見と新規は年1回の利用者を指す。

 まだまだ検証が必要ではあるが、今回、クーポンの利用頻度が高い顧客ほど、7つの分類のうち優良顧客になりやすいという傾向がみられたという。優良顧客に限定して、本数を多く借りることになる人気の海外テレビドラマシリーズ新作をアプリで告知するなどして、販促をかけている。

 なお下のグラフは、2013年度会員のうちでランクごとに、2014年度のランク別会員数の構成比を示したもの。アプリ会員になった会員とそうでない会員と比較すると、アプリ会員になった会員ほど優良顧客の割合が高いことが分かる。

アプリ会員になった顧客ほど優良顧客になる傾向がある</r> ※2013年度の会員のうち、アプリ会員になった人とそうでない人の会員ランクの割合をグラフにしたもの
アプリ会員になった顧客ほど優良顧客になる傾向がある ※2013年度の会員のうち、アプリ会員になった人とそうでない人の会員ランクの割合をグラフにしたもの

データ分析人材の獲得に動く

 昨年10月1日、ビッグデータ活用を本格化するためのネットインフラを構築してきた組織体制を変更した。宅配レンタルビデオのぽすれん(正社員は約30人)と、アプリの刷新などゲオのネット系開発を推進してきたゲオホールディングスのネットワーク戦略部(同約20人)の2つを統合して、ゲオネットワークスを設立。社長には、2012年10月に入社してゲオのネットワーク戦略を推進してきた、バンダイネットワークス(現バンダイナムコゲームス)初代社長の林俊樹氏が就いた。

 同社事業本部を引っ張るのは、一昨年(2013年)遠藤社長にスカウトされた榎本淳一事業本部長・CTO。榎本事業本部長は2003年NTTドコモ入社組で、約10年間、iモード事業などを手掛けてきた。

 「ゲオアプリは強力な告知手段だ。メールマガジンの開封率が一桁台なのに対して、アプリのプッシュ通知の開封率は30%と高い。こうした告知手段を自社で持っていることの価値は大きい。ターゲットに合わせてプッシュできる」と、榎本事業本部長は話す。顧客に合わせた販促に力を入れていく。

 さらに榎本事業本部長は、これから本格的に展開するビッグデータ活用にも言及する。「ゲオネットワークスには、ネットワークの専門家が集まっている。今後は、有効なデータが大量にあることの強みを生かせる、データ分析人材のスカウトを検討している」。

 2015年3月期、ゲオの売上高は前年比2.9%増の2700億円を見込むものの、営業利益の予想は約29%減の65億円と、3期連続で減益が続いている。ただし、既存店売り上げの減少に歯止めがかかっているという。ビッグデータ活用によって、2016年3月期には増益に転じるか、注目したい。

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