コールセンター向けシステムを開発・販売しているベリントシステムズジャパン(東京都新宿区)は声紋を使う顧客認証・詐欺師検知システムを金融機関向けに2015年半ばから出荷する。米ベリントシステムズが2013年10月に買収したビクトリオ社の声紋を使った認証技術がベースになっている。

 米ベリントシステムズは従来、詐欺師の声紋を登録したブラックリストや不正行為特有の通話パターンをもとにして詐欺師からの通話を検知していた。今回開発したシステムでは正規の顧客の声紋をホワイトリストとして登録しておき、本人認証に用いる。詐欺師を見抜くためのブラックリストと組み合わせて使う。

 金融機関などがこのシステムを利用するには、声紋で本人認証することを顧客に開示し、同意を得ることが必要だ。通話の声紋をホワイトリストのデータと照合するのに7秒ほどかかる。照合の結果はオペレータの画面に即座に表示される。

 声紋のホワイトリストを使う狙いは2つある。まず、顧客にとっての本人認証の手間を軽くすること。コールセンターでは本人にしか答えられないような質問を複数用意しておき、間違いなく本人であることを確かめることがある。

 ところがこのやりとりには大抵1分以上かかり、うっとうしく感じる顧客もいる。そもそもコールセンターへの通話全体の99%以上は正規の顧客によるもの。身元を偽る通話は5000件に1件程度とされる。不正排除のために、正規の顧客が本人確認の手間を強いられている。声紋で認証すれば余計な質問をする必要がなく、顧客サービスの向上につながる。

声紋のホワイトリストでリアルタイムの本人認証
声紋のホワイトリストでリアルタイムの本人認証

声紋による認証のほうが確実

 ホワイトリストを使う第2の理由は、詐欺師対策だ。個人データを盗み出して集めた違法サイトの情報を詐欺師が利用して、本人確認のための質問のいくつかを通過してしまうことがあるという。

 このため、「本人確認の質問で詐欺犯罪を完全に防ぐことはもはやできない」(米ベリントシステムズのマーク・レザー グローバルバイスプレジデント)。声紋のようなバイオメトリクスによる認証のほうが詐欺を確実に防げると考えられている。

 今回のシステムでは、通話の最初の段階で声紋を照合する。声紋で認証できなかった場合のみ、本人確認の質問といった従来の方法を使う。

 詐欺師の検知には声紋のブラックリストだけでなく、通話元の電話番号、電話会社、1日のうちに同じ電話番号から複数の口座に関して何回問い合わせてきているかといった通話パターンなどの情報を利用する仕組みになっている。

 ベリントシステムズジャパンは新しい顧客認証・詐欺師検知システムをメガバンク、クレジットカード会社、消費者金融会社、証券会社などに売り込む。

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