三井不動産レジデンシャル(東京都中央区)は同社が分譲したマンション2棟に、各戸の電力利用状況を把握する「HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)」を標準装備した。省エネを実現するだけでなく、ライフスタイルを把握することでサービスを高度化し、居住者の満足度を高度化する狙いがある。

 東京都の新宿区と品川区のマンションで、東芝製のHEMS装置を建設時に組み込んだ。各住戸における使用電力量を収集・蓄積し、そのデータを分析することで「外食派」といったライフスタイルを把握し、スマートフォンなどにレストランの割引クーポンを発行するといったことを計画している。

 導入第1号は「パークタワー西新宿エムズポート」。入居が始まった昨年12月から、179世帯分のデータを分析している。各住戸にはタブレットを無償で配布し、電力の利用状況の画面やクーポンを取得できるサービスを閲覧できるようにした。

タブレットで電力利用状況を閲覧したり、クーポンを取得したりできる
タブレットで電力利用状況を閲覧したり、クーポンを取得したりできる

 データは各住戸内の分電盤内にある各小型ブレーカーに、キッチンのコンセント、居間のコンセント、居間のエアコン、洗濯機などの役割を割り当てて使用電力量をHEMSで測定している。使用電力量がある値を超えたら「使用中」と判定する。製品ごとに独自の波形があり、どの家電がいつ稼働しているかが分かる。こうしたデータを蓄積し分析することで、居住者のライフスタイルを推定する試みだ。

 例えば、洗濯機を1日1回、午前中に1時間動かしていれば、子どもがいる専業主婦の家庭、夕食時のキッチンの使用電力量が他の住戸と比べて少ない場合は、外食が多い世帯と推定したりする。

 「データ分析で、この時間は料理中、この時間は洗濯中という具合に、各世帯がいつ家事をしているかは明瞭に分かる」と、三井不動産レジデンシャルの市場開発部商品企画グループ主査、町田俊介氏は言う。しかし、データの蓄積が十分でないため、「推定したライフスタイルが実際のものと合致しているか検証できず、まだ本格的なサービス展開まで至っていない」(町田氏)。

アンケートも併用し精度改善

 そこで、全戸を対象に記入式のアンケート調査を来年早々に実施。各世帯の実際のライフスタイルと、HEMSデータから推定したものの差異を検証し、判定精度を改善していく。

 また今年10月には、同様のHEMSを組み込んだ総戸数209戸の「パークホームズ品川ザ レジデンス」でもデータ収集を始めた。居住エリアの異なる2棟のデータを比較することでも、新たな居住者向けサービスを見い出したい考えだ。

 電力会社の供給能力がひっ迫するような暑い夏の日に、冷房の利用を控えることで大型商業施設などで利用できる割引クーポンを発行する機能も備えている。今夏は対象となる状況に至らなかったという。

 三井不動産レジデンシャルはHEMSで取得したデータを分析し、今後供給するマンションの開発にも生かしていく。

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