女性向けカタログ通信販売を手掛ける千趣会は、2013年よりユーザーの消費行動原理や潜在意識である「ユーザーインサイト」の分析に注力している。通信販売事業においてインターネットを利用した購入比率が急増したためだ。サイト閲覧履歴や購買プロセス、属性などを分析することで、具体的な顧客像と購買行動を予測し、ターゲティング広告やパーソナライズされた情報提供などにより、マーケティング力の強化を目指す。

 同社のカタログ通販(ベルメゾン)の会員数は約400万人。2013年の通販事業の売上高は1264億9700万円で、そのうち65.7%にあたる831億円をインターネットによる売り上げが占める。2009年の同比率51.3%と比較すると、売上高に占めるオンライン比率は4年間で14.4ポイントも上昇したことになる。

インターネット売上高と通販事業全体に占める比率の推移
インターネット売上高と通販事業全体に占める比率の推移

 同社が取り組んだのは、通販サイトを訪れたユーザーのアクセスログ(行動)分析強化である。これまでも、サイト内の滞在時間、回遊経路、訪問回数、購入商品、購入頻度といったデータを収集して分析してきた。昨年は新たにサイトの回遊経路などの時系列分析に取り組んだ。

 通信販売の場合、新規顧客が3回購入したらロイヤルカスタマーとして定着するといわれている。まずは、いかに2回目の購入につなげるかが重要施策となる。そこで、1回しか購入していないユーザーと、2回目の購入に至ったユーザーの行動履歴を分析した。

千趣会の通販サイト「ベルメゾン」
千趣会の通販サイト「ベルメゾン」

 例えば2回目の購入に至ったユーザー群を抽出し、流入ページや滞在時間はもちろん、「どういった回遊経路で目的の商品に到達し、同じカテゴリーの製品をどのぐらい行き来(比較)し、購入に至ったか、それとも至らなかったのか」を分析した。同ユーザー群と“一見ユーザー”の行動履歴を比較することで、一見ユーザーに対しては、2回目に購入したユーザー群と同様に行動するようにパーソナライズされた誘導施策を打つことができる。

 分析には、2013年に導入したテラデータのビッグデータ分析プラットフォーム「Teradata Aster Big Analytics Appliance(以下、Aster)」の「nPath関数」を用いた。Aster導入の結果、「商品購入に至るまでの行動経路を、より詳細かつ簡単に分析できるようになった」(販売企画本部マーケティング部顧客戦略チームマネージャーの西口浩司氏)と言う。

 Asterによるユーザーインサイト分析で、新たな発見も得られた。例えば、同社にはディズニーキャラクター商品に特化したカテゴリーがある。一般的なユーザーは同じ用途の商品ジャンルの中で回遊(比較)する傾向が強い。しかし、ディズニーカテゴリーを訪問するユーザーは、商品ジャンルではなく、ディズニーカテゴリーの中の回遊で完結するケースが多いという。西口氏は、「サイト内の特定ページを軸に、『このページを閲覧したユーザーはどこから流入し、どこに出て行くのか』といったユーザー分析も、簡単に実行できるようになった」と語る。

 また、購買までの詳細な行動履歴が簡単に分析できることで、同じ1回目の購入ユーザーに対しても、異なる施策を打つことが可能になる。サイト流入から購入に至る時間が短く、ページ回遊率が低いユーザーは、欲しい商品がベルメゾンにあったから購入しただけで、ロイヤルカスタマーとして定着する確率は低い。そうしたユーザーに対してカタログやDMを送り続けることは、コスト効率が悪いだけでなく、マイナスのブランドイメージを与えかねない。「こうしたユーザーに対しては、例えばメールのみのコンタクトにするなど、『最小限のアプローチ』を取ることも有効なアプローチだ」(西口氏)

 今後もユーザーの行動特性の分析をさらに深めて、ネット事業の強化を図っていく方針だ。

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