九州が地盤でスーパーやホームセンターを展開するトライアルカンパニー。グループCIO(最高情報責任者)の西川晋二氏は、「BigData Conference 2014 Autumn」において「業務端末をツールとし、データを生かした、流通小売店舗の作業改革」をテーマに、店舗におけるデータを利用した現場改善を披露した。

トライアルカンパニー グループCIOの西川晋二氏
トライアルカンパニー グループCIOの西川晋二氏

 トライアルの手本は国内にはない。「(米流通大手の)ウォルマート・ストアーズに習っている」(西川氏)。情報システムや関連機器を自社に合わせて柔軟に内製し、経営戦略の実行を支援。高成長を維持している。情報システム子会社を中国に展開し、約500名体制でコンピュータソフトの開発や流通システムの開発を行っている。

 例えば、モバイル情報端末の「PACER」。情報端末、業務端末、音声通話端末の機能を有するAndroid OSの独自端末であり、商品の発注や売上げデータの管理など、スーパーの運営に必要なほとんどの機能を兼ね備えているという。「従業員には仕事が明確になり作業がしやすいと好評だ。業務の効率化と人件費削減を実現している」(西川氏)。

 全従業員がPACER端末を携帯し、日々の業務にあたっている。出社後、従業員が名札のバーコードを端末で読み取ると、1日の業務スケジュールが時系列で端末に表示される。端末には情報共有機能やスケジュール管理機能なども備わっており、業務スケジュールの変更指示などを、従業員ごとに送ることができる。リアルタイムでの商品の受発注も可能だ。

 西川氏は「PACERにはポテンシャルがある」と語る。端末は全ての作業ログデータを収集している。位置情報と人の動きを加味することで、その作業内容も把握できる。「こうしたデータを蓄積・分析することで、さらなる業務の効率化を目指す」と目標を語る。

ID-POS、GIS、商品データを掛け合わせ顧客理解を深める

 ID-POSデータの分析基盤も独自に開発している。汎用のIAサーバをクラスタリングし、米EMCのDWH(データウエアハウス)「Greenplum」や独自の分析・可視化アプリケーション、BIツール、業務システム、そしてPACERのシステムを稼働させている。

 自社開発した理由について西川氏は、「従来の分析システムは、単品レベルまでの分析や競合他社の分析、販売促進分析を行うには使いにくい部分があった」と説明する。同社の会員は約400万人で、1店舗あたりのアイテム数は5万~7万点。1日に発生するデータは500万行におよぶ。

各種のデータを掛け合わせ、商圏で起こっていることを把握する
各種のデータを掛け合わせ、商圏で起こっていることを把握する

 高速処理だけでなく、ID-POSデータとGIS(地図空間情報システム)、それに商品情報を組み合わせた分析ができるようになった。店舗別や商品別の販売ヒートマップを作成したり、住所データで顧客の居住地域を500メートルのメッシュで分類し、購買データを色分けして可視化したりしている。他店との競合エリアで、どの製品やカテゴリーが、どのような影響を受けているのかも分析・把握が可能という。競合店の情報は、オープンデータや外部の販売データを利用すると同時に、従業員が「足で稼いだ」(西川氏)データも収集し活用しているという。

 現在、顧客の行動や従業員の対応、販促手段もすべてデータ化する取り組みを行っている。棚前の行動データを数値化する仕組みを提供するミディーと協力し、顧客の店舗内の行動データを分析。店舗レイアウトや棚割を最適化する実験を行っている。収集・分析したデータは、商品メーカーに公開して、販売促進施策の立案などに活用する計画だという。

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