「BigData Conference 2014 Autumn」開催2日目のテーマは「アナリティクスDAY」。「データ活用推進組織の理想と課題とは ~組織拡大を進めるリコーに聞く~」と題したオープニングセッションで幕を開けた。登壇したのは、リコー開発プロセス革新本部・副本部長兼コーポレート統括本部経営企画センターデータインテリジェンス推進部・部長の佐藤敏明氏。日経ビッグデータ副編集長の市嶋洋平が佐藤氏へ問いかける形で理想と課題を探っていった。

リコー開発プロセス革新本部・副本部長兼コーポレート統括本部経営企画センターデータインテリジェンス推進部・部長の佐藤敏明氏
リコー開発プロセス革新本部・副本部長兼コーポレート統括本部経営企画センターデータインテリジェンス推進部・部長の佐藤敏明氏

 リコーのデータインテリジェンス(DI)推進部は2013年4月に設立された新しい部署だ(設立当時はDI推進室)。設立の経緯について、佐藤氏は「2012年の終わりに、当時の社長からコンピュータやビッグデータを使ってビジネスを変革したいという話があった。当時、開発プロセスをコンピュータの活用によって変革する仕事をしたから、その手法をビジネスに適用するのだと理解した。DI推進部の立ち上げのミッションは、もちろんビッグデータの活用だが、データの分析からビジネスや経営の変革を推進することが最終的な目的だ」と説明した。

全社組織を立ち上げる利点と課題

 トップダウンでデータ活用を推進することになったリコーでは、DI推進部という全社を横断する組織を立ち上げた。ビッグデータ活用においては、全社組織で推進する方法と、部門内でビッグデータを扱う方法の2つがある。佐藤氏は、双方のメリットとデメリットについて語った。

 「部門内でビッグデータを扱う場合、多くはExcelの得意な人が分析担当になる。これではExcelで分析できないデータはお手上げになってしまう。また、部門内で分析した場合には“部門に都合のいい分析結果”を出しがちだという問題がある」

 より高度な分析が必要であり、全社の改革を進めたいと考えたリコーでは、全社横串のDI推進部が必要だったのだ。

 一方で佐藤氏は、全社組織にも課題はあると指摘する。DI推進部のような全社組織がデータを分析して、部門に問題を指摘したとしても、現場では他部署からの指摘に聞く耳を持たないリスクがあるというのだ。これには、「トップがデータ分析を重視する方針をしっかり示す」「社会心理学的な手法を使うなどして組織間の人間関係を醸成する」といった策が有効だという。

 それでは、DI推進部を支えるビッグデータを扱う人材はどう確保したのだろうか。佐藤氏は立ち上げに当たって「スペシャリストを集めたいと思っていたが、現場はなかなか優秀な人材を手放してくれなかった」と振り返る。そこで、「あなたもデータサイエンティストになりませんか?」と社内公募の仕組みを使って人材を募ったところ、過去の社内公募を大きく上回る数の応募があった。「技術者にとって、データサイエンスはとても興味や関心がある領域だということが分かった。スペシャリストではない人材なので教育が必要だが、公募に応じる人はバイタリティーも高く、ハードな教育プログラムを脱落者ゼロで終了しているほど」(佐藤氏)。

 最後に佐藤氏は、DI推進部を采配して見えてきた課題を挙げた。

 「1つは機動的なデータの整理ができていないこと。データがないから分析できないということが起こってしまう。もう1つは人材の育成だ。私たちのミッションはデータ分析ではなく、会社や仕事の役に立つプロセス改革を進めること。統計学が分かりコンピュータが分かり、さらに仕事の現場が分かる。そうした人を効率的に育成する方法は、これから見つけていかなければならない」

 先行する企業ならではの視点から、今後の課題を提示して、セッションを締めくくった。

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