「JOYSOUND」ブランドでカラオケ事業を展開するエクシング(名古屋市瑞穂区)は、カラオケルームや家庭用カラオケで歌われた大量の楽曲データを蓄積・分析することで、売り上げ向上に役立てている。

 蓄積しているのは、エクシングが提供する、カラオケを楽しむためのコミュニティサービス「うたスキ」に登録した会員が、どんな曲を歌ったかという歌唱データだ。

 まずは、会員が歌う毎月数百万回のデータを分析し、「歌手Aの楽曲をたくさん歌う人は歌手Bや歌手Cの楽曲もたくさん歌う」などの相関性を読み取り、100のグループにクラスタリング。さらに、近接するグループをいくつかまとめて大グループにし、「女性ノリ重視」「アイドル」などと名付けてマップ化する。

蓄積した歌唱データを100のグループにクラスタリングし、9の大グループに分けたマップ。このマップでは歌手名を示している
蓄積した歌唱データを100のグループにクラスタリングし、9の大グループに分けたマップ。このマップでは歌手名を示している

 そのうえで、カラオケルーム用コントローラーの画面に、分かりやすくデザインしたマップを示す。ユーザーがその中から「アイドル」などのロゴを選ぶと、その大グループの中で最近よく歌われている歌手名や曲名が一覧で示され、選曲に迷うユーザーを手助けするわけだ。また、ある曲が歌われた後、その曲と同じグループに属する曲名を、モニターに映すレコメンドも実施している。

 蓄積した歌唱データを集計し、生まれた年別・男女別で示す「ヒット曲ランキング」を各500位まで作成している。カラオケ事業者ではエクシングのみが提供できるサービスで、ランキングをコントローラーの画面に呼び出せば、ある年に生まれた人たちがどの曲を好んで歌っているのかが一目瞭然になる仕組みだ。

 これらのサービスはいずれもユーザーに楽しく曲を歌ってもらい、利用頻度を高めるのが狙い。エクシングNetwork&Contents部長の船橋保弘氏は、「具体的な数字では示せないが、JOYSOUNDへの誘因要因になっており、売り上げ増に貢献している」と胸を張る。

ターゲティング広告にも活用

 また、エクシングは蓄積したデータを、広告のターゲティングや法人向けサービスにも活用している。

 広告主は、歌唱データや登録時に得た年齢、性別などに基づき、ターゲットとなるユーザー層を選定。カラオケルームでこの層が好む曲が歌われた直後に、モニターに動画CMを流せる。CMを流す範囲も、全国のカラオケルーム、あるいはエリア限定などと変えられる。

 2003年から横ばいか微減が続いていたカラオケルーム全体のユーザー数は、2013年に微増に転じた(「レジャー白書」調べ)。「今年は娯楽の1つとしてカラオケを見直してもらう好機」(船橋氏)。7月末でうたスキの会員数が980万人に達し、1000万人突破が確実になったのを機に、データを活用したマーケティングにさらに力を入れる考えだ。

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