全国に1100店舗以上を展開する100円ショップ国内第2位のセリアは2014年3月期の決算で売上高1000億円、営業利益100億円をそれぞれ超えた。高収益を支えるのがビッグデータ分析である。システムが完全に稼働した2008年度の時点では営業利益は約15億円。営業利益を6倍以上に伸ばした計算だ。

 セリアでは商品ごとに「SPI(セリア・パーチェス・インデックス)」と呼ぶ独自の指標を用いて、発注するかどうかを判断している。この指標の基になっているPI(パーチェス・インデックス)値は、ある商品が顧客1000人当たりどれぐらい売れるかを示すもの。そこに「商品点数が約2万点」「価格がすべて100円」という制約条件がある100円ショップ独自のアレンジを加えた。

 実はSPIを考案したのは、2014年6月24日に社長に就任予定の河合映治氏(同日まで常務取締役)。「100円ショップは基本的に値引きができないので、売れる確率を上げていかないと店舗に在庫が積み上がっていく。これは怖い」(河合氏)との想いからSPIを編み出した。河合氏は地方銀行である大垣共立銀行で中小企業向けの融資システムを事業部門の立場で開発した。この経験を100円ショップで生かした格好だ。2003年にセリアへと転じてPOSの採用を先導し、2006年に導入を始めた。

 SPI値を基にどの商品を発注するかのロジックは、「ある事象が起こる条件の下で別の事象が起こる」という「条件付きの確率」を応用しているという。つまり仮説と検証である。この際に考慮するのが、POS(販売時点情報管理)データによる実際の販売実績に加えて、店舗特性や季節などである。SPIに重み付けを行う数理モデルを開発。各商品の翌日の発注量を決めている。

 発注内容は店舗ごとに毎日生成し、店舗側はそれをチェックして発注する。発注のリスト内に店側で発注したくない商品があった場合に限り、オーダーを外す。「異常を本部側で察知する仕組みでもある」(河合氏)という。例えば、不良品率が高い、売る棚が用意できないといった理由が挙げられる。

セリアの店舗で利用している発注端末
セリアの店舗で利用している発注端末

 これらの仮説・検証を繰り返すことで、売れる見込みのある商品はSPIが向上し、売れない商品はSPIが低下していく。

 大量のデータを分析する中で、商品の販売と季節性の“裏”にある因果関係も明らかになった。

 例えば、クリスマスのパーティー商品は年末の時期しか売れないと思い込みがちだが、実は1年中よく売れることが分かった。歓送迎会やお花見など様々なシーンで使われるからだ。子供にお小遣いをあげる際にむき出しではよくないという理由から、お年玉袋も1年を通じて需要があることが明らかになった。また、そりは冬よりも春に売れるという。川の土手などで遊ぶ用途とみられる。

 セリアは経営者がまさにデータ活用を先導している。「収益を左右するデータ活用であるからこそ、経営者として数理モデルをチューニングする」(河合氏)との考えだ。数理モデルは秘中の秘であり、理解しているのは開発した河合氏のみだという。

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