すかいらーくは、2014年1月に本格的なデータ分析組織を立ち上げた。売り上げ予測をし、店舗の人員配置の適正化やキャンペーンなどの利益率アップに効果を上げてきている。

 「天候によって、朝の客数は左右されないが、昼や夜の客数が変わることが分かった」(すかいらーくマーケティング本部インサイト戦略グループの神谷勇樹ディレクター)。

 すかいらーくは2014年1月に、インサイト戦略グループを立ち上げた。以前からあったデータ分析の組織に、消費者を調査する機能、「ガスト」や中華レストラン「バーミヤン」といった各ブランドを横断的に見る機能などを追加して強化した。

売り上げを予測して人員配置

 外食店にとって、店舗のスタッフ(クルー)の配置は、サービス向上のために重要である。クルーが少ないとサービスの質が低下する可能性が増す。かといって、多くのクルーを配置すると人件費がかさんでしまう。客数や売り上げは、天候や販促キャンペーンなどによって大きく変わる。もともと、平日と休日の来客数は倍違うなど客数の変動は大きい。このため、より精度の高い売り上げ予測をして、最適なクルーのシフトを組むことに取り組んだ。

 まず、来客数予測のために収集していた天気データを、より細かく収集するよう改めた。以前は、最高気温と最低気温、降水量を1日単位で見ていた。しかし、「最高気温が午前1時に記録する日もあるように、これでは売り上げなどの分析には不十分なことは明らか」(神谷氏)ということで、細かなデータを取得することにした。

 例えば、1時間単位で気温や降水量などの天気データを取得。これによって時間帯ごとの特性が見えてきた。昨年の数字をベースに、直近の販促活動が及ぼす影響などで補正を加えて売り上げを予測している。

気温と売り上げに相関があることが明らかに
気温と売り上げに相関があることが明らかに

 また、節分といった年間行事も考慮する必要がある。節分時には、関西の回転寿司店「魚屋路(ととやみち)」の売り上げがかなり伸びる。関西では節分に恵方巻きを食べると縁起がよいとされており、テイクアウト販売が増えるからだ。一方で、ガストやバーミヤンなどの売り上げは落ちる。自宅で食事をする家庭が多くなるからだ。関東などでは、それほど影響はない。

 クルーの適切なシフトを組むため、「予測した売り上げや客数に応じて、必要な数を導き出すモデルを作っている」(神谷氏)。配置が適切かどうかは、時間帯別の売り上げを見ながら評価しているという。

事前テストでフェアの利益率を確保

「TRY!Cheese」フェアのポスター
「TRY!Cheese」フェアのポスター

 インサイト戦略グループではこのほかにも、数々のキャンペーン効果の分析を実施している。例えば、ガストの「TRY!Cheese」フェアでは、データ分析が利益確保に効果を発揮した。同フェアは人気メニュー「チーズINハンバーグ」のチーズに工夫を加えるなどのリニューアルをし、それを食べてほしいという趣旨で今年の4月10日~20日に実施した。チーズINハンバーグ(税別通常価格499円)、「フレッシュトマトとバジルのイタリアンチーズINハンバーグ」(同599円)、「チーズINハンバーグ&ミックスフライ」(同799円)、「てりたまチーズINハンバーグ」(同599円)の4種類のメニューを100円引きで提供した。

 客数や客単価、粗利、オペレーションへの影響を調べるため、フェア前の1月に約20店舗でテストマーケティングを実施した。その結果、顧客単価が大きく下がってしまった。想定していたより、価格が安いメニューに偏ってしまったからだ。

 そこで、関係者が集まりディスカッションをした。高い商品の魅力を伝えて売り上げの構成比を単価の高い方にシフトさせようという狙いである。メニューブックの内容やライスやサラダなどとのセット商品の組み合わせなどの改善を図った。その結果、4月の本番では数千万円の利益が得られた。

データ分析を踏まえてメニューブックを構成
データ分析を踏まえてメニューブックを構成

クーポンの効果を適正化

 分析事例をもう一つ紹介しよう。すかいらーくでは年数回、「サンクスくじ」というクーポンを期間限定で提供している。購入1000円ごとに1枚発行するスクラッチくじで、内容は割引券である。割引券でリピート率を向上させるのが狙いだが、もちろん利益も増やしたい。

ジョナサンのサンクスくじ。A賞からH章の8種類のクーポンを用意
ジョナサンのサンクスくじ。A賞からH章の8種類のクーポンを用意

 クーポンの使用状況を分析することで、課題が明らかになってきた。すかいらーくは、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営するTポイントサービスに対応しており、個人ごとの来店などの履歴の分析をCCCに依頼した。その結果、分かったのが、クーポンを利用する客のうち常連客の比率が高い、再来店するまでの間隔が期待より長い、単価が安い(利益が下がった)――、などである。

 客数を増やすか、利益を取るかなどを、データを分析しながらディスカッションした。その結果、クーポン対象商品を1000円前後など、単価が高いものを増やすことにした。その結果、利益は当初の計画の4倍に上るという好結果に至った。

 ガストや和食レストラン「藍屋」といったブランドによって、単価はもちろん、リピート率、再訪までの期間まで異なることを再確認した。今後、こうした点をさらに分析して、効果が高まるように対応していく予定である。

実験計画法でテスト店を選択

 すかいらーくはキャンペーン実施時などに、事前に20~30の店舗を選びテストすることが多い。このテスト店の選択においては「テスト店が全国の店舗の縮図となるように」(神谷氏)というのが理想だ。

 過去の売り上げのトレンドや人口密度、売り上げ規模、競合の数などから判断、選択している。小さな店舗だと、キャンペーン実施で増えた来店客数に対応しきれず、施策効果が過小評価となる恐れがある。また、1回テスト店とすると売り上げなどの数値にブレが生じてしまい過去との比較がしにくく、しばらくその店舗ではテストできない。

 店舗選定には、限られたサンプルでキャンペーンなどの影響を適切に測れる手法である実験計画法の考え方を取り入れている。ツールとして米アプライド・プレディクティブ・テクノロジーズの「Test & Learn」を採用。また、一般的な分析には、米タブローソフトウェアのツールを利用し、データを視覚化して理解できるようにしている。