ヤフーは2014年4月1日付で、ビッグデータ活用の組織体制を再編した。データ活用を担当するシステム統括本部データソリューション本部の人員を昨年比で約4割増やして180人体制とした。そのうえでデータサイエンティストやデータアナリストなどデータ活用人材の役割を細分化して配置することで専門性を高めた。
「サービス部門側で活用するデータの量や種類が急増しており、データ専門部隊も対応力を高める」(データソリューション本部の小間基裕本部長)との狙いがある。4割増の約50人のうち約30人は4月1日入社の新卒社員で獲得し、約20人は昨年夏以来の社内の異動や中途採用で増やした。ここ3年間で約3倍の規模まで拡大した計算だ。
これまでヤフーのデータ専門部隊の担当者の役割はデータの「入力」「処理」「出力」といったデータ活用のフェーズで大きく3種で位置づけていたが、サービス部門側のビジネス要求に的確かつ迅速に対応するため、機能別に分けた。
具体的には、検索キーワードやサービスの画面デザインなどを分析して最適化する「サービスソリューション」、顧客がWebサイト上でページを下まで閲覧したのかといった行動を分析し把握する「ロギングシステム開発」、分析対象のデータを高速に分散処理するHadoopシステムの運用やサービスを管理する「グリッド系開発」など13の担当を設けた。「データインサイト」はビッグデータを分析し経営陣にレポートする担当で、データや指標を基にした事業運営を支援する。

ヤフーには同本部のほか、データ分析による戦略を社内に展開する「可視化推進本部」、将来の事業に生かす先端技術を担当する「Yahoo! JAPAN研究所」、ネット広告全般のプラン作成から営業を手掛ける「マーケティングソリューションカンパニー」で社内のデータ活用を支援している。それぞれ30人、20人、50人規模のデータ専門人材が在籍しており、データソリューション本部と合わせると300人弱の体制となる。
利用部門のデータ需要が急増
専門部隊を増強する背景には、利用部門におけるビッグデータ活用の本格化がある。
ヤフーは約3500台のHadoopサーバーを運用しており、各サービスを運営するデータ利用部門などから使えるようにしている。その規模は「国内では最大」(小間本部長)としており、利用部門による分析の処理数がここ1年で約10倍に急増している。
これまでコストやスピードの問題でできなかった処理がHadoopの登場によって可能となった。「利用部門が一斉に使い始めた裏にはニーズがあり、専門部隊としても利用部門との連携を密にしてビジネス要求に応えたい」(小間本部長)。