SBIホールディングスは、2014年度にグループ横断でビッグデータの分析や活用を本格化する。グループの主要な約15社が中心となりWebサイトでの顧客の行動を分析。相互に顧客を送客したり、商品をレコメンドしたりして新たな収益源を作る。ホールディングス内にグループ横断の組織を設置し、ノウハウの共有や連携を実現していく。

SBIはグループの経営者が集まるビッグデータ会議を開催している
SBIはグループの経営者が集まるビッグデータ会議を開催している
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 SBIホールディングスは「SBI証券」「住信SBIネット銀行」「SBI損害保険」、住宅ローンの「SBIモーゲージ」、金融商品の評価やコンサルティングの「モーニングスター」、金融情報の「サーチナ」などの金融サービスを中核事業としている。グループ全体で1685万の顧客を抱え、Webサイトへのアクセスは月6億ページビューを超えるという。こうした顧客のリアルとWebの行動をグループで統合的に分析することで、新たな収益の柱を生み出す。

 例えば、「車を購入したい」という行動に合致した顧客がいた場合、グループ内の銀行がローン、損保会社が保険、生活情報サイトが駐車場の情報を提供するといったことを想定している。法人の顧客であれば、カーリースの情報を提示することでグループ内での取り引きを増やしたい考えだ。

 SBIホールディングスは出資などでバイオ事業を強化している。各社とバイオビジネスの連携については「現在、どのような形がいいのか慎重に検討している」(社長室の佐藤市雄マネジャー)と言う。仮にバイオ商材と生命保険の情報を閲覧している顧客であれば、健康に対する興味が強いというカテゴライズもできる。

 さらに金融サービスの実店舗である「SBIマネープラザ」を活用したO2O(オンライン・ツー・オフライン)による送客も検討する。SBIマネープラザは2013年末時点で330店舗だが、500店舗まで引き上げることを目指す。

 連携の実現に向けて2014年に、適切な商品のレコメンドを可能にするシステムを整備する。具体的には主要企業のWebサイトに顧客の動きを一元的に分析するため、米グーグルの「Googleタグマネージャ」を導入して「グループ連携」タグを設定。分析など様々な機能の導入を一括管理していく計画だ。また、どういったプロファイルの顧客がどのような商品を購入しているのかをコンピュータに学習させる機械学習のエンジンを、オープンソースのソフトウエアを活用し自社で構築している。同社の想定する相互のレコメンドを可能にするためだ。

 グループの顧客が各サービスで使うIDも統合していく。ビッグデータ活用を機にIDを統合する背景にはセキュリティの強化もある。「それぞれのグループ企業が個別にIDシステムを管理していては不正アクセスへの対処も難しくなる」(佐藤マネジャー)との考えだ。

グループの活用人材を集約

 2014年2月21日、東京・六本木にあるホールディングス本社にグループ約15社の幹部が集まった。グループ幹部が一同に会する唯一の会合である「グループビッグデータ会議」に出席するためだ。SBIホールディングスの北尾吉孝社長は「ビッグデータはグループ全体をまとめる“接着剤”となる。活用のノウハウを外部任せにせず、蓄積してグループの資産にしていく」とげきを飛ばした。

SBIホールディングスはグループで相互に顧客を送客する
SBIホールディングスはグループで相互に顧客を送客する

 この会議で各社から1人がホールディングスの社長室に設置するグループのビッグデータ活用を検討する実務者会議に加わり、6カ月ごとに交代していくというスキームが公表された。相互送客に向けてグループのビッグデータ戦略を統一する狙いがある。