ポイント付与は売り上げ増加にどれだけの効果を与えているのか──。そんな疑問を持つ企業も少なくないだろう。そこで、旅行会社のエイチ・アイ・エス(HIS)は昨年12月、過去5年分の全購買データと、過去2年分のPontaカード会員の購買データを分析した。

 HISは2011年からオンラインで海外旅行のツアーや海外航空券などを購入した人にPontaカードのポイントを付与している。ツアーや航空券での付与率は原則0.5%だ。
 今回の分析の狙いの1つはPontaカードの販売面への貢献を確かめることだ。もう1つの狙いは、Pontaカードを利用しない顧客と、Pontaカードを利用する顧客のイメージや消費行動をしっかりと把握すること。

 分析の結果、Pontaのポイント付与によって、「当社がこれまでアプローチしてこなかったお客さまが来ている」(山岡隆志事業開発室長)ことが分かった。その成果は、Pontaポイントに効果的な顧客セグメントに対する自社メディアによるプロモーションなどで活用していく考えだ。

Ponta会員は旅行単価が高い

 売り上げ拡大への貢献も定量的に把握できた。Pontaのポイントの発行で発生するコストを1とすると、Pontaカードのサービスを提供したことに由来する粗利の増加は10以上に相当するという。

 顧客ごとの購買額の向上、販売件数の増加、継続利用率の向上などについてPonta会員と非会員を比較して、粗利の増加額を算出した。

 例えば、Pontaカードの会員は海外旅行1件あたりの同行者の人数が多く、1人あたりの単価も高い。

 販売件数の伸び方もPontaカード会員の顧客の方が大きい。2013年の出国件数を調べると、Pontaカードの会員の方が海外旅行の回数が多かった。

 どのような種類の海外旅行をする顧客にPontaポイントが効果的であるのかも把握できた。様々な種類の海外旅行の中でも、ファミリーやカップル・夫婦での旅行をする顧客にPontaが効果的であることが分かった。

 また、新規顧客が2回目の購買までの期間を比較したところ、Pontaカードの会員の方が短期間のうちにHISで2回目の購買をしていた。具体的には、4カ月以内に再購入する比率は、下図の通りPonta会員の方が圧倒的に高い。

2回目の購入までの期間(月)
2回目の購入までの期間(月)

 HISの顧客のうち、Pontaカードの会員の分析はPontaカード発行元であるロイヤリティマーケティング(東京都渋谷区)の協力を得た。

 ロイヤリティマーケティングは、今回の分析から将来の顧客となり得る顧客像を抽出するといった点でも協力した。潜在的な顧客の市場規模を知るために重要だ。

 こうした成果を踏まえて、HISは今後、社内のデータ分析チームの強化も検討していく考えだ。

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