みかん生産の早和果樹園は2011年5月、インターネットを活用した農業支援システムの実証実験を開始した。約5000本の樹木に固有のID番号を付与、センサーや情報端末から気候や作業履歴など様々なデータを収集し、作業効率と品質の改善を図る。最終目標は「農業ナレッジマネジメントシステム」の構築だ。

 みかん生産の早和果樹園は2011年5月、インターネットを活用した農業支援システムの実証実験を開始した。約5000本の樹木に固有のID番号を付与、センサーや情報端末から気候や作業履歴など様々なデータを収集し、作業効率と品質の改善を図る。最終目標は「農業ナレッジマネジメントシステム」の構築だ。

 6万平方メートルの園地でみかん栽培を行う早和果樹園は、専業農家から有限会社、株式会社と発展してきた。高品質みかんのほか、ゼリーなど13種類の加工品も手がける。さらなる事業の拡大にあたって生産性向上や作業の標準化、コストの数値化、従業員の専門知識の継承などの課題を抱えており、富士通の情報システム「農業クラウド」を導入してデータに基づく農業経営を進めることにした。

 5カ所に設置したセンサーから気温や降水量のデータを定期的に集める。園地の従業員はスマートフォンを利用して作業履歴を入力するほか、スマホのGPS(全地球測位システム)から作業場所や移動履歴も自動収集する。育成状況や病害虫の発生状況は樹木のID番号別に記録する。これらのデータは富士通のデータセンターに蓄積される。

 蓄積したデータは可視化や予測に用いる。作業履歴から生産活動に伴う作業コストを正確に割り出せるほか、気象情報と生育状況などの相関関係を分析することで生産に関する規則性や変化の兆候も発見できる。分析結果は次期の生産活動に生かし、ベテランが適切な作業を知らせるといった助言や示唆も可能になる。

 農業支援システムを実用化できれば、農作業の効率化や標準化を通じて利益を生む農業を実現するだけでなく、未経験の新入社員へのノウハウの継承が可能となり人材育成にも役立つ。ノウハウ共有を地域に広げることで地元活性化にも寄与できる。