がんこ寿司など約100店舗の和食チェーンを展開するがんこフードサービスは、従業員の行動を「見える化」することでサービス業の工業化に取り組んでいる。仲居の和服の帯に、加速度などを測定するセンサーを装着。店内でどのような行動を取ったかを、逐一記録し分析している。高性能なセンサーを使うことで、歩行速度や滞在時間、「立つ」「座る」といった動作を把握できる。

 行動を可視化すると意外な結果が出た。接客を担当する仲居が、レジ打ちや備品の片付けなど、本来は別の従業員の業務に多くの時間を割いていたのだ。レジ近くで予約の電話を受けた担当者が、厨房(ちゅうぼう)の奧にある台帳を閲覧するため長い距離を移動していた。

 POS(販売時点情報管理)のデータと掛け合わせて、顧客による注文の量と仲居の作業内容を分析。店が混雑する時間帯にこうしたムダな作業が発生していることが分かった。

 このほかクレーム対応も把握できるようにした。店員が「料理がこない」といったクレームを受けた時点で、注文用のハンディ端末に登録。内容や場所、時間をデータとして残して、改善に活用している。

 実験は産業技術総合研究所と共同で実施している。東京・銀座の店舗における実験結果を基にした改善策を、約10店舗に対して展開。店によっては売上高が2~3割向上したという。

 取り組むにあたり、現場の従業員にデータ活用の知識を習得してもらうことにした。ただし専門人材のデータサイエンティストのように、多方面のデータ分析知識を身につけるのは時間がかかる。そこで3人に対してそれぞれ統計解析、シミュレーション、経営工学を修得してもらい、チームとして分析力を駆使できるようにした。

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