環境省は大規模な疫学調査「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を推進している。10万組の子供と両親を対象に定期的に健康状態を確認し、胎児期から小児期までの子供の成長・発育に与える環境要因の影響を明らかにするのが狙い。

 環境省は大規模な疫学調査「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を推進している。10万組の子供と両親を対象に定期的に健康状態を確認し、胎児期から小児期までの子供の成長・発育に与える環境要因の影響を明らかにするのが狙い。

データを5年にわたり分析

 環境省が企画・立案し、国立環境研究所や国立成育医療研究センターと共同で2011年1月に開始した。調査対象者のリクルート期間3年と子供が13歳になるまでの追跡調査期間を合わせて16年、2027年まで継続する。2013年2月末時点で、全国で6万1000人を超える母親が参加している。

 収集した試料とデータは2027年以降も5年間にわたり分析し、統計的に子供の成長・発達に与える環境要因を解析。遺伝要因や生活習慣要因と組み合わせ、「妊娠・生殖」「先天奇形」「精神神経発達」「免疫・アレルギー」「代謝・内分泌系」の5分野に対する仮説を検証する。例えば、妊娠・生殖の分野においては、「妊娠中に化学物質にさらされることにより妊娠異常や胎児・新生児の発育異常が生じる」という仮説を検証していく。精神神経発達の分野であれば、「胎児期および幼少期において化学物質にさらされることが子供の発達障害および精神障害に関与している」とする仮説について調べる。

 エコチル調査は大きく4つのフェーズで進める。まず妊娠初期から妊娠中期にかけて、妊婦の血液や尿などの試料と、質問票への回答内容から健康状態を把握。次に出産時に出生児の健康状態を確認するのと併せて、両親の血液や母親の毛髪から化学物質を測る。続いて出産から1カ月時に、母乳と子供の毛髪を採取して化学物質を測定。最後に子供が生後6カ月から13歳になるまで、半年ごとの質問票調査や数年ごとの面接調査、試料の採取を重ねる。

 以前から動物実験や基礎研究を通じて、化学物質にさらされることによる影響など、環境リスクを解明する取り組みは進められてきた。だが、それだけでは人間の健康への影響を把握することが困難と判断し、新たな大規模調査に乗り出した。