京都大学は2012年秋から、理化学研究所(理研)のスーパーコンピュータ「京」を使った産学共同の創薬に取り組んでいる。スパコンのシリコン半導体で処理することから、「インシリコ創薬」とも呼ばれる。膨大なデータベースから候補となる化合物を絞り込めるようになり、新薬開発の成功率を引き上げる。1品目当たりの開発費用を100億~250億円と現在の半分以下に引き下げるのが狙いだ。

 京都大学は2012年秋から、理化学研究所(理研)のスーパーコンピュータ「京」を使った産学共同の創薬に取り組んでいる。スパコンのシリコン半導体で処理することから、「インシリコ創薬」とも呼ばれる。膨大なデータベースから候補となる化合物を絞り込めるようになり、新薬開発の成功率を引き上げる。1品目当たりの開発費用を100億~250億円と現在の半分以下に引き下げるのが狙いだ。

 京大大学院薬学研究科の奥野恭史教授が、エーザイ、小野薬品工業、キッセイ薬品工業、参天製薬、塩野義製薬、大日本住友製薬、田辺三菱製薬, 日本新薬など製薬11社などと取り組んでいる。

 病気の原因となるタンパク質350種類に対し、データベースに登録された3000万種類の化合物をスパコン上で反応させるシミュレーションを行い、新薬の候補となり得る物質を探索する。それらの組み合わせは合計で105億通りにもなる。

 能力が格段に高い京を活用することで、候補の絞り込みを従来の「構造解析」から、物質の特徴を基にした「パターン認識」へと転換。タンパク質と化合物のすべての組み合わせについて調べられるようになった。

 創薬の第一歩となるのは、タンパク質のカギ穴に化合物を結びつけられると判断した組み合わせの発見だ。この組み合わせが実際に化学合成で結合する割合を、約6割と従来の1割程度から大幅に引き上げられることを確認した。最終的には、病気の原因となるタンパク質に作用する、候補となる化合物の設計を自動計算する手法の開発が目的だ。課題は大量データ解析のノウハウ確立と人材育成だ。従来のシステムでは計算結果のデータは数百キロバイトだったが、京からは10万倍以上の100ギガバイトのデータが出力されるからだ。解析のスキルも向上させて、低迷が続く新薬承認数の引き上げや新薬開発のスピードアップを目指す。

 製薬11社以外には、三井情報と京都コンステラ・テクノロジーズのITベンダー2社、NPO法人のバイオグリッドセンター関西、産業技術総合研究所、理研が参加している。

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