クレーンなど大型機器を手がける日立プラントテクノロジー(現・日立製作所)は2011年12月、「クレーンドクタークラウド」を発売した。クレーンの稼働に関するデータの分析により、故障など異常事態の予防につなげる監視サービスだ。これまで破棄していたデータを蓄積して活用し、装置の連続稼働を可能にするほか、保全や事故防止といったアフターサービス事業の拡大を果たした。

 クレーンなど大型機器を手がける日立プラントテクノロジー(現・日立製作所)は2011年12月、「クレーンドクタークラウド」を発売した。クレーンの稼働に関するデータの分析により、故障など異常事態の予防につなげる監視サービスだ。これまで破棄していたデータを蓄積して活用し、装置の連続稼働を可能にするほか、保全や事故防止といったアフターサービス事業の拡大を果たした。

 日立は大型クレーンでは国内で約3割のシェアを持つ。同社の大型クレーンは通常、ゴミ処理場や港湾施設に設置されることが多く、制御システムを利用して遠隔操作する。この制御システムは、クレーンの位置や荷物の重さなどの稼働状況や運行に必要なデータをリアルタイムに取得し、異常を検知したらアラートを出す機能を持っている。

 この仕組みから収集できる情報は、クレーン1台当たり1ヵ月間で数ギガバイトに及ぶ。位置情報に限っても、時系列に分析すれば、位置の変化量から速度が、速度の変化量から加速度が分かる。それらを長期的に蓄積・比較することで部品の腐食や摩耗といった、目視では把握しにくい機器の状況を捉え、故障の予見に生かせる。

 実際、あるゴミ処理場のクレーン2台を対象にデータを分析したところ、一方のブレーキ利用頻度が他方に比べて明らかに多いことが判明した。部品が寿命を迎える前に交換すれば、クレーンの停止時間を短縮して稼働率を上げられる。結果として、クレーン1台当たりのライフサイクルコストの低減を図ることができる。

 実は日立はこれまで、制御システムで取得したデータを破棄していた。「クレーンドクター」と呼ぶアフターサービス支援ソフトを発売していたが、運転データの記録・保存機能はなかった。データを蓄積・活用してリアルタイムでの運行状況監視・予防保全サービスとして提供すれば、顧客側の満足度も改善する。そう考え、制御システムに通信機器を組み込んでデータを収集・管理することにした。同社はその後、データを活用したアフターサービス事業を上下水処理場や一般工場などにも拡大している。

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