下着メーカー大手のトリンプ・インターナショナル・ジャパンは2011年5月、米Apple社のタブレット「iPad」を直営店に導入した。試着したものの購入に至らなかったケースなど、顧客の行動に関するデータをiPadを使って収集。購買データからだけでは得られない顧客の嗜好(しこう)や購入を見送った意図を捉えることで、新商品の企画や店内の商品陳列に生かせるかを検証した。

 下着メーカー大手のトリンプ・インターナショナル・ジャパンは2011年5月、米Apple社のタブレット「iPad」を直営店に導入した。試着したものの購入に至らなかったケースなど、顧客の行動に関するデータをiPadを使って収集。購買データからだけでは得られない顧客の嗜好(しこう)や購入を見送った意図を捉えることで、新商品の企画や店内の商品陳列に生かせるかを検証した。

 既存のCRM(顧客関係管理)システムでは購入履歴や年齢、住所などの最低限の顧客情報しか得られず、嗜好やトリンプへの親近感など顧客の“内面”までは分からなかった。そこで直営店「AMO'S STYLE」の30店舗でiPadを利用した接客を開始した。顧客が来店すると、登録会員の場合はIDを入力し、画面上で色やサイズ、つけ心地などから好みのブラジャーを絞り込む。最後に「試着」ボタンが表示され、これを押すと試着商品として保存される。ちょうど、ECサイトでいくつかの条件を入力して商品を検索し、気に入ったものをショッピングカートに入れる感覚だ。ECサイトとの違いは、「試着」ボタンを押した後、実際の商品を持って試着室に向かう点である。

 顧客は試着後、必ずしもすべての商品を購入するわけではない。当然、一部だけを購入することもあるし、一つも購入しないことも考えられる。だが、そうした場合でも、iPadを使って収集したデータからは、どんな商品と比較して売れたのか、あるいは売れなかったのかが分かる。色やつけ心地を基に絞り込んだ中で、そもそも見向きもされなかった商品も明確になる。

 それだけではない。店舗ごとに異なる顧客のニーズを把握し、店舗に応じたマーケティング施策を打つことができる。加えて、CRMシステムの顧客データと組み合わせて活用すれば、顧客のセグメントをより細分化し、各セグメントに応じたマーケティング施策の展開も可能だ。

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