九州の大手流通小売業トライアルカンパニーは、従業員の作業ログを収集し分析。作業の標準化と問題点の改善を行うことで、年間約100店舗の出店による成長を続けている。
自社専用の「PACER端末」と呼ぶスマートフォンを台湾メーカーに委託して開発。全店舗に3000台以上を配備した。従業員に携帯してもらい、本部側の指示を随時確認したり、在庫管理や作業管理などを行ったりしている。作業を実施する際には、終了した時に「作業終了」のボタンに触れることで、本部側で要した時間を把握する。
こうした作業のログを分析し、店舗におけるオペレーションの問題点を明らかにして改善する。例えば、従業員の業務分担を、「食品」「衣類」といった商品カテゴリーから、「商品補充」といった作業ごとに変更した。さらにPACER端末から商品の情報を確認できるようにして、必要な商品知識を補えるようにした。
PACER端末を導入する背景には、急成長を続けるため、店舗を運営するスタッフの対応力を底上げする狙いもある。新人と熟練スタッフの差をできる限り少なくする。
トライアルは、その日に売れた商品を売れた数量だけ発注する方式を採用し、自動で発注している。このため、各店舗から収集した情報を迅速に処理する必要があった。
このため2011年にはデータウエアハウスを刷新。データの読み込み時間を短縮したり、非構造化データの分析効率を引き上げたりした。一部のアプリケーションでは処理速度が250倍も高まった。地域ごとに人気商品を割り出すなど、データの細かな可視化が可能になった。