コニカミノルタは本誌の「第1回 データ活用先進企業ランキング」の販売部門において第3位となった。複合機の稼働状況や社内外のデータを活用し、売り上げや顧客の動向を精緻に予測していることが高評価につながった。

 2014年から販売、開発、生産などのコニカミノルタグループのメンバーが集まってビッグデータ活用のタスクフォースを立ち上げて進めてきた。2015年度にはシステムとしての実装にも乗り出している。

 販売部門で中心となっているのは、複合機のセールスや保守を手掛けるコニカミノルタビジネスソリューションズ(東京都港区)である。鈴田透取締役マーケティング本部長は「社内だけでなく社外の多様なデータも入れることで、どれが動く要因かを見いだすことができるのがビッグデータのメリットであり、社として活用に取り組んでいる」と言う。

 オフィスに設置するデジタル複合機が主力事業のコニカミノルタにとって、顧客がどの程度の枚数の文書や画像を出力するのかが収益を左右する。プラスになれば消耗品の確保、マイナスに振れれば販促策などの見直し、といった対策に生かす。

 しかし顧客のオフィスにおける複合機の利用状況であるマシンデータだけ見ていてはトレンドを精緻に予測することが難しかった。そこで日経平均株価や天気といった外部データも入力。全体のプリント枚数の予測の誤差を最終的に1%台に収めることができるようになった。「従来も高い精度を実現できるケースがあったが、ノウハウを数式で表せることに意義がある」(マーケティング本部 事業統括部 事業戦略グループの矢部章一担当課長)。

機械学習と外部データで、出力枚数を高精度で予測
機械学習と外部データで、出力枚数を高精度で予測

利用データを分析し買い替え提案

 2015年度は、過去の販売実績などから購入に至りやすい顧客像のモデル化にも乗り出した。担当者に顧客のなかでの営業の優先度、薦める製品ラインのリストを渡して活用してもらった。結果として、何も考慮しない場合に比べて成約に至る確率が従来のおよそ2倍になったという。

 現在の顧客に対しては、印刷枚数や頻度、プリントする用紙サイズなどのデータから分析し、上級機への買い替えなどを提案している。特に業績が成長していると思われる会社の特徴をデータから見定めることがポイントになるという。

 また、データから見て紙詰まりが多い顧客に対しては、紙の変更による改善を提案したり、将来的な修理コストを提示して買い替えを促したりする。顧客の満足度を向上させるとともに、コニカミノルタ側にとっても保守要員を派遣する回数を減らせればコスト削減につながる。「場合によっては、開発までさかのぼって製品を改善する」(矢部担当課長)。

 コニカミノルタでは現在、5つ以上のビッグデータ活用のプロジェクトに取り組んでいる。ディープラーニングについても活用の検討を始めた。例えば、複合機が壊れる際にどのような兆候があるのかを見いだそうとしているという。