東急建設は現場で使う車両をIoT(Internet of Things)化し各種の稼働データを取得し、作業効率の向上や環境対策に取り組んでいる。2015年春から約25台の規模で試験を行っており、今後本格採用を検討する。

 ダンプカーや建設機械に位置を取得できるIoTアダプターを装着し、各車両の稼働状況や場所をリアルタイムで取得している。

OBDを使わず情報を取得

 IoTアダプターは電源となるシガーソケットに接続する。稼働時間、GPS(全地球測位システム)による位置情報から速度などを割り出す。これらの情報をクルマの故障診断に使うOBDポートから取得するIoTアダプターもあるが、ダンプカーはメーカーによって取得できるデータ形式が異なる場合が多いという。「現場車両のメーカーを統一するのは難しいので、IoT端末で各種の情報を取得することにした」(東急建設土木本部環境技術部の高倉望担当課長)。

 東急建設は現場車両のIoT化で、現場での車両配置や誘導の効率化、燃料の節約によるCO2排出削減の大きく2つの点を検証している。

 フレクト(東京都中央区)の車両向けIoTサービス「Cariot」を利用しており、IoTアダプターも同社が供給する。クラウド型のサービスで、各車両のデータを収集し、特定のグループの車両を表示したり、分析結果を可視化したりできる。

 特に期待するのがリアルタイムの位置把握と接近のアラート機能である。「これまでは現場に到着するまで、どこを走っているのか分からなかった」(高倉担当課長)。Cariotの画面上で特定のエリアを半径500メートルなどの円で設定し、車両が入ったらアラートを出すことができる。Googleマップの機能で現場に着くまでの時間を計算し表示している。

 例えば、今回実験で活用した建設現場では大通りから通じる通路幅が狭く、ダンプカーが1台しか通れない。そこで搬入のダンプカーの接近アラートが出たら現場から出ようとするダンプカーを抑止し、「ダンプカーの滞留を避けることができた」(高倉担当課長)。また、端末で車両の位置が分かるので、現場で到着を待つ誘導員がずっと張り付く必要はなく、トイレに行きやすくなるなど作業環境の改善にもつながった。

 長時間のアイドリングや速度オーバー、急ブレーキ・急加速をした車両を特定。事後やリアルタイムに注意を与えることも可能だ。また、産業廃棄物を配送する場合、通行ルートを届け出て順守する必要がある。そうした場合のチェックや証跡としても活用できる。

 東急建設では試行結果を基に、本格導入を検討する。全現場の約1割に当たる30現場で合計約300台の車両にIoTアダプターを搭載したい考えだ。今回の仕組みを建設業向けのIoTサービスとして、他の建設会社などへ販売することも検討している。

 フレクトはCariotを今年4月に事業化し、現時点で20社、合計1000台に提供している。建設会社のほか飲料メーカー、物流会社などが採用しており、OBDに対応したIoTアダプターも用意する。

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