新日鉄住金ソリューションズは2016年、鉄道車両の安全性監視システムを発売する予定。日々収集する車輪の脱線係数データなどを基に、機械学習で突発異常などを自動検知する。

 新日鉄住金ソリューションズは、レールと車輪の圧力バランスを示す鉄道車両の脱線係数(脱線するかどうかの指標)や速度、温度などの計測データを収集し、効率よく警告・可視化する「安全性監視システム」を開発している。2016年にも発売する予定だ。

 鉄道車両の走行安全性を評価する指標の1つである脱線係数は、計測機器の耐久性の問題があり、以前は常時測定が不可能だった。「車輪にセンサーを取り付けた特殊な試験用輪軸を電車に装着し、大きな計測器を用いての測定とデータの解析が必要だった」(季刊『新日鉄住金Vol.1』より引用)のだ。

 ところが、数年前に日々脱線係数を測定できるソリューションが実用化された。それが、新日鐵住金と日鉄住金レールウェイテクノス、東京地下鉄、交通安全環境研究所が共同開発した「PQモニタリング台車」だ。

 非接触式センサーを装備することで脱線係数を常時測定できるようになった。PQモニタリング台車には車両重量による垂直方向の力(P=輪重)を測るセンサーと、横向きに働く横圧(Q)を測るセンサーが装備されている。車輪とレールの接触している部分の輪重と横圧を測定し、脱線係数(Q÷P)を算出する。計測する際に接触している箇所がないので、常時計測が可能になったというわけだ。

 各路線で運行している列車1~2台の一部車両にPQモニタリング台車を装着すれば毎日、脱線係数を自動計測できる。既に東京メトロやJRなど数社が導入している。従来方式では、脱線係数の計測が年に1回か、数カ月に1回だったので、計測頻度が飛躍的に高まった。そこで新日鉄住金ソリューションズは、日々収集する計測データを活用して、効率よく警告・可視化するクラウドベースのシステムを開発している。

機械学習で異常走行を検出

 システムの概要は、下図の通り。PQモニタリング台車から24ミリ秒ごとに収集して蓄積するセンサーデータが、センサーログ蓄積データベースに送られる。さらに機械学習のアルゴリズムによって、異常走行の検出や故障時期の予測などを行う。

機械学習で異常走行の検出や故障時期の予測などを自動せ行う安全性監視システムのイメージ
機械学習で異常走行の検出や故障時期の予測などを自動で行う安全性監視システムのイメージ

 「現在、機械学習のアルゴリズムを開発しており、実証実験に取り組んでいる段階だ」と、新日鉄住金ソリューションズ技術本部システム研究開発センター データ分析・基盤研究部の籔さやか主任研究員は説明する。

 異常走行の検出や故障時期の予測が精緻にできれば、レールなどのメンテナンス計画を最適化できる。必要なタイミングでメンテナンスすればいいので、従来に比べてコストを削減できる。

 異常には、突発異常や傾向異常などがある。突発異常の監視では、脱線係数がある閾値を超えた箇所を可視化。最大脱線係数の分布を確認する。傾向異常の監視では、変化が発生した箇所を可視化。最大脱線係数の傾向を確認する。

 新日鉄住金ソリューションズは長年、人工知能や最適化技術のシステム化に取り組んでいる。今回の安全性監視システムの開発には、これまで培ってきた技術とノウハウが生きているという。

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