スポーツデータの収集・分析、販売を手掛けるデータスタジアム(東京都港区)と、スポーツ関連データ解析・活用のSports AI(同)は共同で、人工知能(AI)がサッカーJリーグの対戦の勝敗を予測するサービスを開発した。勝敗予測の有償サービスのほか、データを活用したチームの支援サービスも検討していく。

 サッカー専門戦況予測AIエンジン「WARP_AI」として、今年7月に提供を始めた。サッカーくじ「toto」の結果で評価すると、最高で76.9%(13試合中10試合的中)、最低で38.5%(同5試合的中)である。全体的に5割以上の場合が多いようだ。

 基となっているデータは、データスタジアムが実際にJリーグの各試合で記録している、選手やゲームのデータである。カメラを使った画像認識と担当者による記録の2つの方法で取得しており、選手やボールがどのように動いたのかのデータである。「フィールドにおける各選手の動き方のほか、どの選手がどの選手にパスをすることが多いのか、どのあたりでトラップをするのか、といったことも見えてくる」(Sports AIの及部智仁代表取締役社長兼CEO)。

双方のチームの計22人の選手とボールをAIがシミュレートする
双方のチームの計22人の選手とボールをAIがシミュレートする

最も起こりうる結果を提示

 J1を中心としたJリーグの各選手の動きについて、一定期間のデータを入力。11人の選手2チーム分、22人それぞれのデータを用いて、100試合を仮想的に戦わせている。「22人とボール1つで23次元、それがXとYの2軸で、46次元の情報についてシミュレーターで分析している。そのなかから最も現実的に起こりうる試合の結果を採用する」(及部社長)。

 下の画面の10×10のマトリクスがその100試合の結果を示したものだ。「1対0」が5試合、「0対2」が8試合との予測が出ている。頻度でいけば「0対2」となるが、「最近のトレンドなど様々な要因で精度を向上させている。ただし、勝ち負けに加えて点数まで当てるのはなかなか難しい」(同)。

100試合の結果から最も起こりそうな結果を見いだす
100試合の結果から最も起こりそうな結果を見いだす

 AIが予想を外す要素としては、選手がレッドカードなどの反則をする場合だ。また、サッカーは、選手の些細なミスから形勢が逆転することもあり、そうした場合も外すことがあるという。

 精度を上げるため、今後活用するのがチームの「スタイル」である。データスタジアムは、試合中の各選手の動きの公認データなどを基に、チームごとに「コンパクトネス」「最終ライン」など10数種類の「スタイル」を定義して、それらをスコア化している。

 同社ナレッジ開発チームのチームリーダー兼フットボール事業部の加藤健太シニアプロデューサーは「スタイルはJリーグが公認しているデータから算出している。それにAIを合わせていくことで精度を上げられる可能性がある」と説明する。

 WARP_AIは無料登録で3試合が予測できる。さらに予測したい場合、6試合で324円などの「チケット」を支払うか、もしくは月540円ですべての予測情報を得られる。また、ページで「ホーム勝利」などを予想したうえで、連携する楽天totoのサイトからtotoを購入できる。