みずほ銀行とソフトバンクが共同出資するJ.Score(ジェイスコア)は今年9月25日、個人の信用をAIによって判断して融資の条件を提示する融資サービス「AIスコア・レンディング」を開始した。携帯電話の料金支払い状況などのデータにローン審査の手法をAIを使って適用し、個人の信用スコアを算出する。利用者がデータを追加していくことで信用が高いと判定されれば、低い金利で借りられるようになる。

AIスコアをスマホで表示したところ。質問へ任意回答したり、みずほ銀行やソフトバンクとの取引情報を入力したりすることでスコアは変わる
AIスコアをスマホで表示したところ。質問へ任意回答したり、みずほ銀行やソフトバンクとの取引情報を入力したりすることでスコアは変わる

 J.Scoreは融資を柱として、新たに集まるデータを基に将来的にはAIスコアを活用した新規事業に結び付ける考えだ。POSデータを持つ小売業など異業種企業と連携してマーケティング支援などを想定する。

AIが算出、スコアで信用を可視化

 AIスコア・レンディングは個人の信用力を示す「AIスコア」をまず算出する。利用者はJ.Scoreのサイト上でPCかスマートフォンを使い職種や勤務年数、年収など18の基本的な質問に答えると、1000までの数値でスコアを診断する。融資を検討する個人に、J.Score独自のAIがスコアに基づいて融資額や金利を提示する。

 この時点でも融資に申し込めるが、スコアを上げることで、より有利な融資額や金利になる可能性がある。さらに任意回答の質問が用意されている。趣味や資格の有無、性格にかかわるものなど150個ほどだ。この回答によりスコアの精度が高まり、より信用が反映される。みずほ銀行やソフトバンクとの取引があれば口座や利用状況などの情報も任意で入力できる。銀行口座への振り込みや支払い状況、携帯電話料金の支払い状況の情報を提供することによっても、スコアの精度は高まる。

AIスコアの履歴もチェックできる。サイトアクセス数においてリピーターは新規利用者の10倍以上になるという
AIスコアの履歴もチェックできる。サイトアクセス数においてリピーターは新規利用者の10倍以上になるという

 スコアに応じて貸付利率(実質年率)は0.9%~12.0%になる。0.9%は担保ローンの最優遇金利と同程度。スコアが高い人には低金利で貸し付ける。

 「スコアに応じて融資額と金利が決まるという考え方は(今後日本に)根付くのではないか。個人的にはスコアレンディングが主流になると考える」と、J.Scoreの経営企画統括の手嶋高史執行役員は言う。スコアレンディングを通して、ある性格の傾向を持つ人の使途や返済性向がスコアという形で明確になるため、デフォルト率の抑制や不正の検知など、従来の課題解決にも寄与すると手嶋氏は見ている。

 ただ課題はある。利用者に対し、AIスコアの意味を分かりやすく説明する必要だ。今後、利用者にスコアが変わることを常に意識してもらう工夫をしかけていく考えだ。当面は利用者数と収集するデータの種類を増やしたり、質問数や内容についても見直したりしていく。

ビッグデータがカギ 他企業連携を視野

 AIスコア・レンディングでは機械学習を活用している。みずほ銀行とソフトバンクの持つアルゴリズムを持ち寄りスコアリング(スコア算出)モデルを生成しているが、今後複数のアルゴリズムを試用してスコアリングモデルを改善していく。

 スコアリングを融資以外の新規サービスにも生かしていく。例えば、利用者から集めたデータを小売業のマーケティング支援などに生かすことを想定している。こうした新規サービス向けでは、スコアの定義が違うタイプの利用者が上顧客になる可能性がある。例えば、小売業では支払額や購入頻度が高い個人のスコアが高くなるケースが多くなるだろう。

 ただし現在は融資などのレンディングを前提にしたスコアリングモデルであり、他の用途に共通で適用できるのはどこかを見極めていく。今後は金融機関が保有していなかった種類のデータをいかに集められるかがカギとなり、その分野のビッグデータを保持する他業種との連携を視野に入れている。手嶋氏は「ベンチャーならではのスピード感で、新たなデータを加えていきたい。連携を発表するなど毎年新しい動きを出したい」と意気込む。

 J.Scoreは、事業目標として3~4年以内に黒字化を目指す。10年後にAIスコア・レンディングで5000億円程度の残高を考えている。スコア・レンディングが普及するには精度向上以外に、自分への将来投資に消費者金融を活用するという意識付けも必要となりそうだ。