パイオニアは、大規模商業施設や交差点、駐車場など全国8000カ所あるスポットの静止画像を人工知能(AI)で解析して新たなサービスを開発することを明らかにした。行く先の路面状態を事前に知らせることが可能になる。

 「全国8000カ所にあるスポットの静止画像は、(速度やアクセル、ブレーキなどの)車載データからは読み取れない情報を得ることができる。この静止画像からディープラーニングなどの機械学習で特徴量を抽出して、これまでにないサービスの開発に着手している。例えば、これから行く先の路面状態が積雪路面なのか、凍結路面なのかを直前に知らせることが可能になる」

 パイオニア商品統括部情報サービスプラットフォームセンター(ISPC)開発部カープローブデータ活用推進の野崎隆志担当部長はこう話す。AIが、あるスポットの静止画像から雪道を抽出した場合、そのスポットに向かっている車のドライバーに伝えることができるようになるという。

 現在、パイオニア製カーナビゲーションの上位機種「CYBER NAVI」には、これから行く先の交通状況を画像で確認できる「スマートループアイ」というサービスがある。高速道路のジャンクションや一般道路の交差点の渋滞状況、大型商業施設の駐車場入り口付近の混雑状況、突発的な交通規制の状況といった情報をCYBER NAVIのユーザー同士が画像で共有できるクラウド型情報共有サービスだ。

 渋滞している道路も、車線によってその程度が違う。静止画像でどの車線が渋滞しているのか分かるので、より空いている車線を選択することができる。大型商業施設の駐車場についてもどこが空いていそうなのか、静止画像で確認できるので便利だ。

 画像は全国8000カ所のスポットを通過する際にカメラが自動で撮影してクラウドに送る。その静止画像はオペレーターがチェックして、車のナンバーや人などが映っている場合は、その部分をぼかすなど修正してユーザー全員が見られるようにする。ルート上にあるスポットに近づくと、その静止画像がCYBER NAVIの画面に表示される。

ディープラーニングで自動修正へ

 実はこうしたオペレーターによるチェック処理をAIで自動化しようとしている。配信には不適切な画像の部分をディープラーニングで抽出し、自動で修正処理をして配信するというものだ。「自動化によってコスト削減効果が期待される」(情報サービスプラットフォームセンター開発部開発3課の谷川裕史課長)と言う。

 ディープラーニングによって、静止画像から積雪・凍結路面道路、渋滞度や冠水地点、路上障害物の有無を認識して、情報配信することが考えられる。まだ実用化していないが、2013年にスマートループ画像の活用事例として、機械学習によって車両や走行レーンを認識して車線別の渋滞を把握する技術を開発。同年10月のITS世界会議で発表している。

 車載データだけでなく、静止画像の活用によって車の運転がより快適に、より安全になるだけでなく、最近増えている防災対策の強化にもつながる。新しいサービスの登場が待たれる。

機械学習で車両と車線を認識して車線別の渋滞を把握(ITS世界会議での発表資料より)
機械学習で車両と車線を認識して車線別の渋滞を把握(ITS世界会議での発表資料より)