家電の総合展からIoT総合展に昨年大きく舵を切ったCEATEC。今年も引き続きIoT関連の出展でにぎわったが、深層学習の「眼」を活用した接客やマーケティングなどの参考展示が目立った。また、次世代の有力なユーザーインターフェースとして音声応答の展示も注目を集めていた。

 今年の出展社/団体数は667社と昨年比で2.9%増となり、実に5割近くが新規の出展だったという。とりわけ目立ったのは、深層学習による「眼」を活用したサービスや製品などアプリケーションの展示(参考出展を含む)だった。

「眼」を使って来場者をカウント

 中小企業コーナー(東京ビジネスフロンティア)で来場者の興味を引いていたのは、IoTデバイスの設計などを手掛けるベンチャー企業ハタプロ(東京都港区)である。同社の深層学習を活用した小型ロボット「ZUKKU(ズック)」は、今年8月に大手百貨店玩具売り場のイベント会場を活用した2週間の実証実験に採用された。CEATECの会場でも同ロボットを使った認識を披露し、ハタプロの伊澤諒太代表取締役自らが現場での適用結果を説明していた。

ハタプロの小型ロボット「ZUKKU」
ハタプロの小型ロボット「ZUKKU」

 大手百貨店での実証はイベント会場の入り口にZUKKUと、デジタルサイネージとして活用したタブレット端末を置いて実施したものだ。

 ZUKKUがイベントを案内し、集まってきた来場者の性別・年齢を画像センシングセンサーと深層学習アルゴリズムによる「眼」で識別。その人に合った動画をタブレット画面に流すというもの。今年8月9日から同18日にまでにZUKKUが取得したデータによると、重複も含む総来場者数は4478人、そのうち近距離で顔を検知したアクティブユーザーは約3511人だった。データは5秒に1回の頻度で人を検知している。

 検知できなかった約950人についてハタプロの伊澤代表取締役は「イベント会場の目の前で立ち止まって興味を持ったが、近距離検知されるほど売り場に近づかなかったと考えられる」と分析する。アクティブユーザーが一番多い日は8月11日(金)で674人、一番少ない日は同月15日(火)だったという。

 アクティブユーザー約3511人のうち女性が1902人、男性が1574人、不明が35人だった。アクティブユーザーの年齢層でみると、6~9歳の子供が657人と最も多く、女性では20~24歳が最も多かった。伊澤代表取締役は、「全体的に20代の親御さんが3~9歳の子供を連れている傾向が分かった」と話す。

 識別デバイスとしてだけでなく案内ロボットとしても評価されている。試験導入した大手百貨店の担当者は「ZUKKUはおもちゃに近い形をしているが、POPの役割もしっかりと果たしてくれた。紙のPOPは設置されている棚まで行かなければならないが、ZUKKUの場合は大きな入り口となり、それぞれの棚へ案内してくれるので、うまく導線を作れたと思う」と話す。

半年で7000台出荷の顔認識カメラ

 接客に深層学習を活用する動きは世界中に広がっている。台湾Arisanは、深層学習による「眼」を駆使して認識率を上げた監視カメラシステム「CLiO」を日本で初めて出展した。ホテルやレストラン、パチンコ店などの入り口に置いて使うことを想定している。

台湾Arisanの監視カメラシステム「CLiO」
台湾Arisanの監視カメラシステム「CLiO」

 CLiOは、監視カメラの顔写真を予め登録し、その顔とリアルタイムに照合・確認できるシステム。例えばホテルで使えば、リピーターの顧客に対して、顧客が名乗るより早く深いサービスを提供できる。登録している有名人が来店したら即座に店長に連絡が行き、すぐに挨拶が可能になるなど、接客力を高めることができるという。

 ArisanのCEO(最高経営責任者)兼CTO(最高技術責任者)のデービッド・タン(David Tang)氏は「予め登録した不審者リストに該当する人が来店した場合に、その場で即座に警備員の携帯電話に知らせることが可能になる」と話す。

 同氏によれば、「システムに何らかの変更がない場合には、顔認識カメラの価格は約40万円。4~5日で使えるようになる。台湾で半年前に発売し、既に7000台を販売している」という。国内での販売も検討しており、現在のシステムのまま何の改良もなければ、今年12月頃からの販売が可能になるもよう。

 Arisanは、カメラ側のインターフェースを熟知しており、カメラ側に顔認識ハードウエアを採用してネット負荷や処理時間、コストを大幅に圧縮した。顔認識スピードは1秒以下。従来品に比べて処理性能やコストなどの点で優れているという。

販促物の効果や買わない人も把握

 コニカミノルタは販促物の効果を測定するサービス「go insight」を展示していた。

 POS(販売時点情報管理)では、実際にレジを通過して商品を購入した人の情報しか把握・分析できないのが課題だった。これに対してgo insightは、商業店舗などに設置する商品棚前での人の動きをカメラ画像によって解析。商品に興味を示すかどうか、実際に購入にいたるかどうかなどの効果を測定する。

コニカミノルタの販促物効果の測定サービス「go insight」
コニカミノルタの販促物効果の測定サービス「go insight」

 入店した人の属性や数、商品棚の前に立ち止まった人数や滞在時間などが対象だ。姿勢や動作をカメラで検知・取得して、深層学習を活用して認識した結果を計測する。購入にいたるという効果だけでなく、興味を示したが買わなかったことも把握が可能となる。

 コニカミノルタはgo insightを年内に提供する計画だ。システム一式の販売ではなく、解析で得られた生データのみの提供から、解析結果を基にしたコンサルティングも必要に応じて提供する。店舗が持つPOSデータやアンケートなどと連係することもできる。利用料金はデータ量と計測期間によって変わる。

この記事をいいね!する