世の中のあらゆるものがつながり連携するIoT(Internet of Things)。グーグル傘下のネスト・ラボなど事業化は米国勢に先行された感はあるが、日本でも各社が独自の技術を武器にIoT市場への参入を図る。発表から1年半、JINSはセンサーを組み込んだメガネ型端末「JINS MEME」をいよいよ発売する。

 ジェイアイエヌ(JINS)は11月5日、3種類のセンサーを組み込んだメガネ型端末「JINS MEME(ジンズ・ミーム)ES(イーエス)」を発売する。これまでは研究などの用途に絞って提供していたが、一般向けに3万9000円(税抜き)で販売する。

 JINS MEME ESは3点式電位センサーによって、瞬きや視線変化のパターンを取得できる。今回、着用者の眠気を判定するスマートフォンのアプリを提供。「順調」「すこし眠そう」「とても眠そう」3段階のレベルで推定する。「とても眠そう」の場合、アプリで危険を知らせるアラートを鳴らし、アナウンスでドライバーに休憩を取るように促す。

電位センサーで瞬きを検知

 「人は眠くなると、瞬きの頻度や強度、速度が落ちるといった兆候が現れる」(JINS)といった特徴を応用したものだ。運転中の眠気推定を可能にする独自アルゴリズムを開発。瞬きの頻度や強度などを示すデータを入力して、眠気を推定する。大手運送会社の鴻池運輸で実際に長距離ドライバーを対象にした実証実験も行い、アルゴリズムの精緻化を進めたという。

センサーを組み込んだメガネ型端末「JINS MEME」と眠気を判定する対応アプリ
センサーを組み込んだメガネ型端末「JINS MEME」と眠気を判定する対応アプリ

 このほか眼の動きから得られる情報を基に「集中」「活力」「落ち着き」を測定し「ココロ」の活性度を指数化する、頭の動きから得られる情報を基に「活動量」「姿勢」「安定性」を測定し、歩行時の動きや姿勢などを指数化する、それぞれのアプリを提供する。東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太教授の監修で開発したものだ。

 6軸センサーだけを搭載したサングラスタイプの「JINS MEME MT」も11月5日に1万9000円(税別)で発売する。頭部の微細な動きを測定し、ランニングフォームを可視化するアプリで体の中心軸のぶれを知ることができる。

 国内の眼鏡市場は約4000億円と言われているが、田中仁社長は記者発表で「早く1兆円に引き上げたい。世界初のイノベーションによって世界一を目指したい」と意気込みを述べた。

スマートな靴や箸で健康管理

 人の身体の動きをセンサーで取得し、健康増進などに役立てようとするのはJINSだけではない。富士通が開発を進めているのはセンサーを搭載した靴だ。

 「次世代センサーシューズ」を開発し、10月7日~10日に開催したエレクトロニクス・ITの総合展示会「CEATEC JAPAN2015」に参考出展した。中敷きとしてセンサーのモジュールを埋め込んでおり、足の動きや圧力、曲がりなどの多くの情報を収集。情報を無線でスマートフォンに送信する。将来的にはワイヤレス充電を可能にするという。

富士通が試作した「スマート靴」
富士通が試作した「スマート靴」

 言わば「スマート靴」である。日常的に靴からセンサーデータを収集し、靴以外のパーソナルデータやオープンデータとを掛け合わせて解析。利用者自身の健康に役立てるほか、医療やスポーツ分野での活用を想定する。

 富士通としては靴自体を商品化する予定はない。ただウエアラブルデバイスのセンサーで得た情報を、クラウドで集約・分析したうえで、スマホのアプリを通じて情報を提供する一連の仕組みを確立する狙いがある。そのため、他企業との共同開発も視野に入れている。

 一方でTDKは、CEATECにおいて中国の百度の「スマート箸」を展示した。TDKは百度に超小型の通信モジュールを提供しているが、箸の先に超小型のセンサーが搭載されており、食べ物の温度や油度、塩分を測定し、健康管理に活用できるようになっている。

TDKの超小型通信モジュールを組み込んだ百度の「スマート箸」
TDKの超小型通信モジュールを組み込んだ百度の「スマート箸」

 製品化は未定だが生活を支えるあらゆるモノにセンサーが組み込まれていくIoTの典型事例と言える。

 CEATECでは、環境を測定するセンサーも多数展示された。

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