位置情報の分析サービスなどを手がけるナイトレイ(東京都渋谷区)は、企業が持つクルマの移動データをSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などの外部データと掛け合わせて解析・活用するサービスを10月中に開始する。

 移動履歴から、どのような属性の人がどの場所に立ち寄り、クルマの利用目的は何だったのかを推定。サービスの利用促進や業務改善などへの活用を提案していく。

 「車移動(カープローブ)データ解析サービス」として、クルマの移動履歴データを保有している、レンタカーやカーシェア事業者、自動車メーカー、ナビゲーションシステムメーカーなどの利用を想定する。営業車両を多く保有するような一般企業も対象である。

SNS解析のノウハウを活用

 ナイトレイはSNSの投稿を分析して、消費者がどのような場所でどのようなことをしているのかを分析・推定する技術に強みを持つ。各スポットがどのような消費者に好まれるのかといったデータも保有している。

 今回、このノウハウを核として、データの収集から各種の処理ビジュアライゼーションなど一連の流れをフレームワークとして確立。そのうえでクラウドサービス化した。「自社の中に保有されている、眠っている移動データの活用を支援したい」(石川豊代表取締役)。

クルマ移動データの解析・ 可視化の手順
クルマ移動データの解析・ 可視化の手順

 企業は自社が持つ顧客の移動や利用のデータについて個人情報に相当する部分を削除し、ナイトレイに解析を委託する。ビッグデータを解析することで自社の顧客が多く利用していると推定される施設がリストアップされるので、それらをナイトレイとともに精査し、絞り込んでいく。最終的には「エリア」「期間」「利用者の属性」などを指定し、顧客の行動の意図を見いだすサービスを利用できるようになる(図中の可視化2)。

 例えば、レンタカー会社であれば「40代男性×土日×ゴルフ場利用」「法人利用×平日×神奈川県」「小型車×法人利用×千葉県」といった条件で、どのような目的や意図で移動しているのかの分析が可能となる。

 価格は300万円からを想定する。分析にかかる期間は3カ月間程度で、最初の1カ月でヒアリング、分析アプローチの決定、2カ月目でデータ分析、可視化、3カ月目に解析結果の提供を想定する。解析対象のデータは3カ月から半年程度かそれ以上を保有しているケースを想定する。

 ナイトレイはオリックス自動車(東京都港区)と提携し、同サービスを先行して適用した。オリックスのカーシェア事業で取得している5分ごとの位置データを解析。顧客がどのようなスポットに多く立ち寄っているのかを解析した。想定よりも多い2割がレジャー用途であると推定され、大きな荷物が積めるSUV型の車両を投入した。顧客の利用が多いスポットのクーポンや体験プランなども随時提供していく計画だ。

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