地理・統計情報分析のマイクロベース(東京都港区)は、マクロな地図情報や統計などのデータを基に、特定の住居やエリアの住人の特徴を推測するサービスを開発した。家族構成などのプロファイル、利用交通手段などのライフスタイルを推測する。日本はオープンデータの活用で欧米に後れをとっているが、人工知能(AI)の活用などでキャッチアップを図る動きが出てきた。

 「Spaada(スパーダ)」として、まず2015年10月に特定エリアの情報を分析するサービス、年内までに建物ごとに住んでいる人のプロファイルやライフスタイルを推定するサービスをそれぞれ投入する。

 投入するのはエリアマーケティングでの活用を想定したデータ提供サービスである。Webブラウザー上で、マウスをを利用して所望のエリアを指定するだけで、「男女別年齢人口」「世帯の種類」「利用交通手段」といった統計データが取得できる。「自由な範囲でそのエリアのマクロな特徴が分析できるのが特長(マイクロベースの仙石裕明代表取締役CEO)という。

エリアを指定し、利用する交通機関について分析した結果
エリアを指定し、利用する交通機関について分析した結果
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 例えば、新宿の特定エリアをマウスで指定すると「人口4万9522」、「世帯数3万2678」のように表示され、そのうえで必要な切り口で分析する。利用交通手段であれば「徒歩のみの男性が8887人」といった情報の一覧レポートが得られる(図)。そうしたレポート単位で課金しており、1出力当たり1000円で提供する。

 マイクロベースは国などが無償で提供するオープンデータを複数入手したうえで、特色のある分析を実現している。今後提供する通行量分析では、自治体や商工会議 所、商店会が公開している通行量調査データなども掛け合わせるほか、クラウドソーシングで自社調査するデータも活用する予定だという。

 年末までに投入するのは、(1)特定の建物の築年代、(2)住人のプロファイル、の2つを推定するサービスだ。築年代や家屋の形式や広さを基にして、住民の家族構成や年齢、家賃、年収やローンの返済状況、空き家かどうかといった情報を推定して提供する。流通業などのエリアマーケティング用途に加えて、建設や不動産、リフォームや建材メーカー、行政機関などの利用を想定している。

航空写真画像を比べて、建て替えが行われたかどうかを判定する
航空写真画像を比べて、建て替えが行われたかどうかを判定する
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 ユニークなのは国土地理院が提供している1974年、1979年、1984年、1989年、2007年の各空撮写真データを分析することで建物の築年代を推定するというアプローチだ。「建物がいつ変わったのかを、独自のロジックで高精度に判別する」(仙石氏)と言う。

 具体的にはAIの一種である機械学習の技術を利用して、建物が変わった際のパターンを学習したうえで、公共施設やビル、マンションなどの集合住宅の建設情報なども掛け合わせて精度を上げている。

 料金は築年数の判定精度によって変える予定で、1つの自治体の区域について全件データの提供で10万~30万円程度を想定している。

 マイクロベースはこれらのサービスをWebブラウザーだけでなく、コンピューターから直接アクセスできるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)でも提供する予定だ。

 オープンデータとしては、国勢調査、国立社会保障・人口問題研究所 市区町村別仮定値データ、市区町村別男女5歳階級別データ、国土地理院の基盤地図情報や国土数値情報、OpenStreetMapなどを活用している。築年代の推定については「航空写真のデータがあれば国外でも対応が可能」(仙石氏)と言う。