九州旅客鉄道(JR九州)は、顧客の行動を把握したうえで、新幹線などの割引チケットの発売量を調整する取り組みを始めた。

 長距離の鉄道の利用が多く想定されるイベントにあわせて、販売単価や数量を調整するイールドマネジメントを実施。同社の顧客をより深く知ることで、2016年10月25日に予定する株式上場後の収益最大化を目指す。

  JR九州はイールドマネジメントに取り組むにあたり、NTTドコモ、ドコモ・インサイトマーケティングの提供する携帯電話位置情報の統計データの活用を始めた。

 例えば、人気男性アイドルグループ「嵐」がコンサートを福岡市のヤフオクドームで開催した際、周辺にいる人の性・年代、出発場所を抽出。参加者は20~40代の女性、特に40代が多いことを把握した(下図)。その層は、割引切符を購入できるインターネット予約の主要顧客でもある。

ヤフオクドームで嵐のコンサートが開催された際の周辺の流動人口と、博多発着のチケット発売数
ヤフオクドームで嵐のコンサートが開催された際の周辺の流動人口と、博多発着のチケット発売数

 そこで「割引切符の需要が高いと判断し、開催時間を見て1列車ごとに割引切符の供給量を調整する(減らす)ことにした」(JR九州 鉄道事業本部森亨弘営業部長兼サービス部長)。

割引切符は早期に完売し他商品へ誘導

 実際、該当のコンサートを開催する30日前から早期に割引切符が完売。通常切符などその他商品に誘導できた(下図)。一方で、女性アイドルグループの「ももいろクローバーZ」は東京や大阪などから飛行機で来るファンが多く、プロ野球チームの福岡ソフトバンクホークスの試合は県内から来る観客が多く、イールドマネジメントの必要性が低い。

コンサートの有無で、早期割引商品の提供量を調整する(推移はイメージ)
コンサートの有無で、早期割引商品の提供量を調整する(推移はイメージ)

 森部長は「上場後の成長を考えると、駅を利用する鉄道の顧客をいままで以上に知ることが必要」と強調する。JR九州は商業施設や宿泊施設、飲食店など鉄道以外の事業の売り上げが6割と高い比率を占めるからだ。JR6社のうちで唯一5割を超えている。

 そのためにもJR九州はネット予約の利用者を増やすことに注力している。イールドマネジメントの精度を上げたり、鉄道事業以外でも活用したい顧客像を理解したりできるからだ。現在、100万人のネット会員がおり約9%の切符がネット経由の購入だ。3月にスマートフォンアプリの提供を始めており、ネット予約を加速したい考えだ。

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