資格試験のオンライン学習サービス「資格スクエア」を運営するサイトビジット(東京都品川区)は、人工知能(AI)を活用して受講者に応じた学習教材を提供している。司法試験と行政書士の各受講者や全受講者の問題回答の傾向から、最適な問題を適切なタイミングで提示する。今年3月に提供を開始し、9月には一連の仕組みを特許として成立させた。

 サイトビジットは9月2日、オンラインでの学習を教材に反映させる一連の仕組みを基にした特許を「Eラーニングシステム」(日本国特許5994117)として成立させた。2015年9月の出願から早期に成立させているが、「あくまでも他者から権利を守る防衛として出願している」(同社)。

 特許を定義する請求項には、機械学習によって受講者のそれぞれの問題に対する「理解度ポイント」と、再度学習すべき「復習ポイント」、どの程度繰り返したのかの「信用ポイント」の点数を算出して適切なタイミングで出題するといったものが盛り込まれている。また、特定の箇所に対して受講者が講師に対してオンラインで質問するような内容もある。

 資格スクエアは2016年3月に、司法試験と行政書士の2つのオンライン講座を対象にこれらの仕組みを実装して導入した。受講者はインターネットで講師の講座を受講した後に、オンライン教材に取り組む。AIのエンジンが、この理解度チェックの教材を中心に受講者それぞれの特徴や全受講者や設問回答の特徴を把握する。「重要な問題の正解率を上げていくだけでなく、受講者が試験に合格するような仕組みを実装している」(サイトビジットの中村安幸執行役員)。

資格スクエアの司法試験向けのオンライン講座画面
資格スクエアの司法試験向けのオンライン講座画面
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 具体的には、オンライン教材の設問に対しては「もちろん○」「たぶん○」「たぶん×」「もちろん×」での4段階で回答する。間違った問題に加えて正解していても自信がない問題も理解していないとして復習ポイントが高くなる。さらに多くの受講者が回答しているのに受講者が間違っている問題や、出題頻度が高い問題も重要度のポイントを高く重み付けして、次回のテストで優先的に再度出題する。

回答に対する自信度も確認テストで答える
回答に対する自信度も確認テストで答える
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 また、正解していても受講者が忘却するタイミングでも出題していく。回数が少なく、前の学習から時間が経過しているほど再学習が必要なポイントが高く設定される。記憶定着のノウハウは脳科学研究者である東京大学の池谷裕二教授のアドバイスを基に実装している。

 こうした受講者の理解度などを判定するAIエンジンのアルゴリズムは汎用性があるため、「場合によっては外販することも検討している」(中村執行役員)。

 資格スクエアの受講者は無料登録も含めて2016年9月現在で2万3000人。司法試験については2017年度の試験からAIを活用した効果を検証することになるという。行政書士試験は2016年11月の試験から最初の効果が見えてくる見通しだ。今後、対象となる講座を増やしていくのと並行して、合格した受験者がどのような勉強行動をしたのかといった要素もAIエンジンで把握し、オンライン教材に加味していく。