保証書の電子化サービス「Warrantee」をスマートフォンアプリで提供するWarrantee(大阪市中央区)が異業種との提携を加速している。現在は不動産情報サービス大手アットホームなど4社と提携しているが、年内に10社へと拡大することを目指す。スマホアプリを通じて集まる独自のデータが強みだ。

保証書をデータ化し、クラウド上で保存・閲覧できるアプリWarranteeの画面
保証書をデータ化し、クラウド上で保存・閲覧できるアプリWarranteeの画面

 Warranteeは家電製品や住設機器などに付属した保証書をデータ化し、クラウド上に保存できる無料アプリ。保証書と購入証明としてのレシート(納品書を含む)をスマホで撮影すると、OCRエンジンや人力で正確にデータ化され、利用者は保証書のほか登録した製品の取扱説明書など詳しい情報を閲覧できる。

 利用者には、紙の保証書を紛失した場合でも、メーカー保証期間内であれば、アプリから簡単に修理依頼できるメリットがある。メーカーへの修理依頼の窓口となるのは同社で、各メーカーと交渉して実現している。

 サービスの利用者拡大を目指し、同社では製品データベースを拡充中だ。メーカーや量販店からもらう情報を中心に、過去10年ほどの間に発売された数十万点の家電製品・住設機器情報を保有する。

 同アプリを通じて集まるデータは、購入者の氏名や住所、電話番号、属性、性別、年齢などの個人情報と製品名やメーカー名、購入店舗、購入日時、購入金額などの製品に関わる情報だ。

 庄野裕介代表取締役は「当社は誰がどんなものを持っているか、といった膨大なデータを保有している。将来的にはメーカーにデータを開示し、商品開発・マーケティングに使ってもらうことも考えている」と語る。POS(販売時点情報管理)データならぬ、各家庭で稼働している家電や住宅設備が分かるPOU(Point of Usage=利用時点情報管理)データを収集しているのが同社の強みと言えよう。

適切な相手に適切な提案を

 アットホームには同社の加盟・利用不動産店向けに、賃貸住宅向け設備・家電の修理保証サービスを提供している。物件備え付けの住設機器の修理対応フローの簡素化などが狙いだ。入居者にエアコンや給湯器などの保証書を渡すと紛失するケースが多く、管理が難しかったという。加えて、入居者・管理会社・オーナー・メーカー間での修理対応フローが煩雑になることも課題だった。

 保証書をWarranteeで管理すると、入居者はアプリ内のボタンをタップするだけで修理依頼ができ、アプリ経由でメーカーから管理会社へ修理完了の報告が届く。管理会社のコスト軽減効果が大きいが、関係者全員がWin-Winになるといえよう。

 このように顧客を数多く抱える企業に対し、顧客管理ツールのような形でWarranteeを提供し「システム利用料」を受け取る。契約形態はアカウント数、月額固定など企業によって様々だ。

 データの開示範囲には細心の配慮が必要だ。まず、提携企業内でも閲覧できるデータの内容は部署や役職ごとにカスタマイズされる。Warranteeは今後の提携先の拡大に備えて、2015年秋には利用者がどのデータをどの企業に提供してもよいか、個々に設定できる機能を追加する予定だ。

 例えば家電量販店がWarranteeと提携した場合、購入から一定期間たった機器を持つような人へ買い替え提案メッセージをプッシュ通知するような活用法が想定される。顧客との接点をピンポイントで作れるのだ。不動産やオンサイトサポート(訪問修理)、新電力会社などとの提携を進める。

 データをたくさん集める=強み、にはならない。保有するデータを誰にどのような形で提供すれば、ビジネスチャンスが生まれるのか、といった視点で考えることが必要なのだ。

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