東京ガスは今年に入り、顧客からの問い合わせを受け付けるコールセンターの人員計画の手法を刷新した。必要な人員規模を精緻に見積もることで、業務の最適化を図る。本格運用に向けた検証を重ねており、年間数千万円規模の人件費などのコストを抑えられる見通しだ。

 従来はコールセンターへの電話の着信数を基に人員計画を立てていたが、センター全体の負荷を正確に見積もるため、用件ごとの着信数にその用件ごとの対応時間を掛け合わせたものを新指標の「呼量」とした。「単なる着信数ではなく、生産性も考慮する」(営業イノベーションプロジェクト部データ活用推進グループデータサイエンスチームの釋宏介氏)という狙いがある。

 2段階で必要な人員数を割り出す。まず、コールセンターの設備などで記録している実データを使って、同社のセンターにおける“癖”の学習を行う。具体的には、呼量がE、人員数がN人の場合、どの程度の割合でオペレーターが出るのか応答率Rを習得する。

 そのうえで次に、人員計画を実施する日時における呼量を予測する。用件ごとに対応に割く時間はスタッフの習熟度、用件ごとの着信数は過去の実績に季節性などをそれぞれ考慮して設定。用件ごとに足して呼量を求める。こうして呼量を求めれば、目標とする応答率を設定することで必要人員数が割り出せる。時間ごとに最適化することで、応答率を一定の水準に保ちながら人員を抑えられるという。

 東京ガスはこれらの学習や見積もりの作業を自動化するためツールを開発し、本格的な運用に向けた準備をしている段階だ。

 東京ガスは2011年の東日本大震災以降、夜間や休日の災害発生時に従業員が重要拠点に駆けつけて業務ができるようシミュレーションを実施している。従来は従業員が高い割合まで集まることを指標にしていたが、今年は災害後にできる限り早期に一定の割合まで引き上げることを指標にすることにした。

 具体的には目標の拠点に到達するまで時間がかかる従業員を割り出して、それ以外の従業員を中心にした計画を立てることにした。昨年に比べて、参集までの時間を約1割短縮できるという。

地域の特徴を10分類して販促

 一方ガス機器などの販売店である「ライフバル」ではエリアごとの特徴を分析したうえで、それぞれのマーケティング施策を打つ取り組みを始めた。コンロの売れ行きを左右する、家族や住居の形態、所得、ガスの利用開始からの経過年数といった要素から、町丁目単位のエリアを約10のクラスターに分類した。

 例えば小さな子供を持つ家庭が多いクラスターには、安全性や掃除の簡単さを訴求するマーケティングを実施する。ここ2カ月に複数のエリアで、現場の見立てとデータとの差を見いだして検証を始めた。

 東京ガスは今年4月、データの分析活用部隊を技術開発本部から全社組織の営業イノベーションプロジェクト部に移管した。2017年のガス小売りの全面自由化に向け、同プロジェクトを有期の組織として配置。全社戦略を実行する部隊としての位置づけを明確にした。

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