コールセンター業務を手掛けるTMJは、「応答率90%」を確率90%で保証できるようになった。過去のデータに基づくコール数の予測に加えてオペレーターの必要数の割り出しを、シミュレーション技術の活用で精度を高めた。

 ベネッセホールディングスの子会社でコールセンター業務を手掛けるTMJはここ1~2年、顧客企業に対して高い応答率を確実に保証するために最適なオペレーターの配置に力を入れてきた。その結果、今では「応答率90%」を確率90%で保証できるようになった。以前は6~7割、良くて8割の確率でしか保証できなかっただけに、かなりの精度向上だ。

 ちなみに応答率は、消費者からコールセンターにかかってくる電話を受け取れる割合を示す。この応答率が低いと「つながりにくい」と感じる消費者が増え、顧客満足度は下がってしまう。TMJにコールセンター業務を任せる企業としても、応答率90%を確実に実現してもらえるかどうかがポイントになる。

 もっとも、オペレーターの数を多めに配置すれば、応答率は高まるが、コストアップになる。コストに見合いつつ、応答率90%以上を保証するためには、必要なオペレーターを無駄なく配置することが重要になってくる。

オペレーター数の予測精度で差

 最適なオペレーターの必要数を割り出すためには、まず入電数(電話がかかってくる件数)を精緻に予測する必要がある。データとしては、カレンダー情報やイベント情報や、顧客企業が持つクレジットカード引き落とし日、明細書を送った日、DMを打った日などを使う。

 分析の手法は、重回帰分析などの多変量解析やニューラルネットワークなどを活用する。「最近の取り組み(クレジットカードのコールセンター)では、重回帰分析よりもニューラルネットワークのほうが予測精度が良かった」と、TMJ事業推進本部競争力開発部Data Science推進室の布施貴信氏は話す。

 「入電数の予測についてはどこも似たようなやり方をやっていて、あまり差は出ない。問題は、入電数予測に基づいて必要なオペレーター数を割り出すプロセスだ。当社では『ブースシミュレーション』を活用して精度を高めており、他社と比べて優位性がある」と、同室の辻良紀室長は強調する。

 ブースシミュレーションは、データとしてオペレーターの能力やコール数、コールの長さ、コールのタイミング、通話時間、通話後に行うオペレーターの後処理時間、電話の内容などを使っている。「パソコンの中でコールセンターのフローを作って、いろいろなパターンでシミュレーションしている。そうして、応答率90%が確率90%で保証できるパターンを選択している」(辻室長)と言う。

 実際の運用では、既にシミュレーションした数千パターンから選択して、1時間単位のオペレーター数を割り出ししている。条件が変われば、あらたにシミュレーションを行う。

 オペレーターの必要数と、社員や契約社員の希望する出勤日を基に、該当日のアサインを決定する。約1カ月前に予測して、社員の満足度を考慮しつつ応答率90%以上になるように組んでいる。TMJのオペレーター数は現在、約1万人。そのうち正社員は500人弱でほとんどが契約社員だ。

応答率90%を確率90%で保証
応答率90%を確率90%で保証