福田道路(新潟市)とNECは10月初旬までをメドに、深層学習(ディープラーニング)技術の1つであるNECの「RAPID機械学習」技術を活用した「舗装損傷診断システム」の開発を完了する。舗装道路の「ひび割れ」と「わだち掘れ」を同時にレベル判定できるのが特長だ。

 両社が開発している舗装損傷診断システムの最大の特長は、舗装道路の「ひび割れ」と「わだち掘れ」について、同時にレベル判定してくれる点だ(下の写真)。ひび割れのレベル判定は6段階、わだち掘れは4段階で判定する。

レベル6のひび割れの舗装道路の検知画面
レベル6のひび割れの舗装道路の検知画面
レベル3のわだち掘れの状態の舗装道路
レベル3のわだち掘れの状態の舗装道路

 現在、国土交通省で2件(国道)、自治体で2件、実際の舗装道路を撮影してレベル判定して検証し、判定する学習済みモデルの精度を高めている。「9月末から10月初めには学習済みモデルの開発を終了し、サービスをどう展開していくか検討する」(福田道路の田口仁・技術研究所長)と話す。

 今年度中に本格運用を開始し、舗装損傷診断システムによるサービスを開始する。実際の運用では、福田道路あるいは国や自治体が舗装道路を撮影し、両社が運用する舗装損傷診断システムでレベル判定から自治体向け報告レポートの作成まで行う予定だ。

 舗装道路のひび割れレベル判定サービスは既に存在するが、料金は道路1km当たり約1万円となっている。福田道路とNECの舗装損傷診断システムは、ひび割れとわだち掘れを同時にレベル判定できることに加えて、1km当たり1万円以下であることが強みになる。

巡視点検に比べ負荷低減、時間短縮

 一般に、舗装道路の状態検知については、2つの方法がある。レーザーを使った専用の計測器で正確に検査する方法。もう1つは、人の眼で巡視点検する方法だ。深層学習技術を活用した舗装損傷診断システムは、専用の計測器を使う場合に比べてコストが安く、人の眼による巡視点検と比較しても作業負荷の軽減や判断時間の短縮が実現できる。

閲覧アプリの画面イメージ
閲覧アプリの画面イメージ

 今回、福田道路とNECは、舗装損傷診断システムの学習済みモデルを開発するに当たって、舗装道路の静止画像データとレベル判定をセットにした教師データを使って、道路不具合の傾向を自動で学習して学習済みモデルを開発した(下図)。現在、公的に認められている路面レベルを正解値として、学習済みモデルで判定したものと比較してモデルの精度向上に努めている。

舗装損傷診断システムの開発と利用イメージ
舗装損傷診断システムの開発と利用イメージ

 全国には約120万kmの舗装道路があるといわれている。そのうちの九十数%を自治体が管理している。仮に舗装損傷診断システムの利用料金を1万円とすると、単純計算で約120億円になる。

 ただし、福田道路とNECは、点検だけをビジネスにするのではなく、工事の計画や実際の工事、高品質の道路管理なども含めて、トータルなビジネスを検討している。最適な工事計画を提案するために、人工知能(AI)を活用していく。工事の優先順位を付けながら、限られた予算の中でどこから工事を進めるか、AIで最適化する考えだ。

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