財務・人事クラウドサービスの米ワークデイの日本法人は主力商品「Workday」において、企業が持つ最大45項目の人事関連データやワークデイの知見に基づく分析により、各社員の退職リスクを予測する機能を追加導入できるようにした。Workdayはソニーや日産自動車の海外法人も利用する同分野の大手。

 財務・人事クラウドサービスの米ワークデイの日本法人は主力商品「Workday」において、企業が持つ最大45項目の人事関連データやワークデイの知見に基づく分析により、各社員の退職リスクを予測する機能を追加導入できるようにした。Workdayはソニーや日産自動車の海外法人も利用する同分野の大手。

 「Workdayタレントインサイト」として今年4月から提供している。具体的には、各期の営業実績に代表される各社員の成果(パフォーマンス)や人事評価、在籍部署や昇格・降格の経歴といった45項目の人事関連データを収集・分析することで、すべての社員の1~2年以内の退職リスクを0~100%の範囲で数値化し、予測グラフとして示す。

 単純に言えば、優秀な成果を上げているのに人事評価が低い社員は退職リスクが高く示され、成果をはるかに上回る評価を得ている社員は退職リスクが低く示される。導入後は、実際の社員のその後の動向を機械学習することで、予測の精度を引き上げていく。

対応策のレコメンドも

 優秀な人材を採用するためのコストや実績を上げやすい組織のあり方など、同社がこれまで蓄積してきた人事関連の知見も合わせて分析している。ある社員が退職した場合、代わりの人材を採用し、定着させるまでに必要な想定コストや、企業の中で優秀な社員が退職してしまう可能性の高い部署や職種なども示す。

 これにより、経営陣やマネージャー層に、優秀な社員が退職しないように、迅速な対応を促す。例えば、シニアマネージャーにはWorkday上で、「シニアマネージャーとの面談」「一時金支払い」「昇格」といった選択肢が示され、その中から対応を選択すれば、Workdayを通してその対応が実際に実施できる。将来は、「このようなケースの時はこんな対応が望ましいというレコメンドができるところまで持っていきたい」(米ワークデイHCMプロダクトマネジメントディレクターの宇田川博文氏)と言う。

 今のところ、当該企業が知っているであろうがWorkday上では管理していない、社員の健康状態や家庭の事情といった個人情報や、ソーシャルメディア上での社員やチームの評判といった外部データは活用していない。宇田川氏は、「将来はデータの範囲を拡張することもあり得るが、当面は(Workday上管理しない)個人情報や外部のデータを使わないという条件下で、どこまで精緻な分析ができるかを試したい」と言う。

 Workdayはファイナンシャルマネジメント(FM)とヒューマンキャピタルマネジメント(HCM)に分かれており、どちらを導入するにしても、これまでの既存システムから切り替える必要があるため、独自の人事慣行を多く抱える日本企業が導入するうえで、ハードルは高いとみられていた。しかし、海外法人が採用を決めたソニーや日産自動車に続き、日本でもファーストリテイリングや日立製作所がWorkdayHCMの採用を決めた。これらの企業がWorkdayタレントインサイトを活用し始めれば、人事管理の中にビッグデータ分析を持ち込むことに拍車がかかるかもしれない。

Wordayタレントインサイトのダッシュボード画面。下のグラフが社員の退職リスクを示した予測グラフ
Workdayタレントインサイトのダッシュボード画面。下のグラフが社員の退職リスクを示した予測グラフ

 なお、Workdayタレントインサイトは、昨年11月に発表されたWorkdayの新機能「インサイトアプリケーション」の第1弾のサービスと位置づけられている。インサイトアプリケーションは、企業の財務データや従業員の人事などに関わるデータを蓄積・分析し、そこから導き出される予測やレコメンドを示すことで、経営陣やマネージャー層の意思決定を支援するというもの。

 「世界中の顧客企業に、今、人事ソフトに求めている最も必要な機能を聞いたところ、『高い成果を上げている社員を辞めさせない手段』という声が多かった」(宇田川氏)ため、インサイトアプリケーションの第1弾として、優秀な社員の退職を防ぐWorkdayタレントインサイトを選んだという。

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