中古車買い取り・販売を手がけるガリバーインターナショナルは2015年5月、ソフトバンクロボティクスが販売するヒト型ロボット「Pepper(ペッパー)」の活用を始めた。接客業務の効率化と集客率の向上が狙い。当初は買い取り・査定の受付業務に導入し、来店客の情報収集に役立てる。

 買い取り・査定の受け付けでは、Pepperが来店客の名前や買取希望金額、希望売却時期などを、音声とタッチパネルを使ってヒアリングしていく。収集した情報は、査定担当者のパソコンにリアルタイムで送信される。査定担当者は同情報を基に商談を進めていく。買取希望金額や意思決定者が誰なのかといった聞きにくい情報も、Pepperなら親しみやすいインターフェースを生かしてダイレクトに質問できる。

 従来は、査定担当者が30分程度かけて会話の中から引き出していた同情報が、Pepperでは3~5分程度で収集可能。同社では「Pepperは会話の“トリガー”で、成約全体に要する接客時間の大幅な削減率にはならない。ただし、最初の接客時間は、査定担当者ひとり当たり約18時間(1カ月)削減できる」としている。

 ガリバーのデジタルマーケティングチームに属する山畑直樹氏は「集客率の向上は期待以上だった」と語る。2015年5月1~3日、イオンモール大高(名古屋市)で、翌週近隣にオープンする新店舗の告知活動を行った際には、3日間で約1900組と接点を持った。そのうち111組が1カ月以内に新店舗に来店し、90組と商談。最終的に15件の成約を獲得した(成約率約17%)。同成約率は、通常よりも相当高いという。

 プロモーション予算の削減にも貢献した。通常、約1900組と接点を持つようなプロモーション活動には、百万円単位の予算が必要になる。Pepper1体当たりの販売価格は19万8000円であり「投資金額は一瞬で回収できた」(山畑氏)。

 将来的にはPepperの感情認識機能で、顧客の“本音”を可視化する取り組みも検討している。現在、ウェブサイトと実店舗の連動接客ができる仕組みを考案中だ。ウェブサイト訪問者の閲覧履歴やアンケートの回答などを基にニーズを細分化し、来店時の接客に役立てる。

 その際、ウェブ上での接客データを基に作成した提案内容が、顧客の希望通りになっているかを、Pepperの感情認識機能で測定する。「自動車は高額商品なので、お客様の“本音”を伺うには接客テクニックが必要になる。Pepperの感情認識機能を利用し、ある程度の“本音”を把握したい」(山畑氏)。感情の度合いを数値化し、提案内容と関連付けることで、提案内容の改善や接客スキルの向上に役立てたい考えだ。

 Pepperの接客用アプリは、専用のSDK(Software Development Kit)で独自開発した。今後は買い取り・査定受け付けだけではなく、購入受け付けや契約時の説明にも投入していく。同社は、全国約420ある店舗数を、2018年2月期までに800店舗に拡大する計画だ。商業施設内などの小型店舗ではPepperに受付業務を担当させ、少人数オペレーションを目指す。

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