ソフトバンクが米IBMのWatsonを使って人事総務の業務を改革する構想が明らかになった。1カ月に約8000件という社員からの問い合わせに、Watsonに回答させるという。

 Watson活用の第一弾として、「パソコンの故障や決裁の上げ方、通勤経路の変更、経理周りのやり方といった社員からの問い合わせに対して、Watsonが回答するようにする」。ソフトバンク常務執行役員の青野史寬・人事総務統括が、同社グループが都内で開催した法人向けイベント「SoftBank World 2015」の講演で7月31日に明らかにした。

 ソフトバンクが社員サポートセンターを設置したのは2013年。社員満足度の向上を図るためであったが、社員からの問い合わせは月に約8000件も来るという。例えば、1件の回答時間が平均5分としても、1カ月で合計4万分(約666時間)もかかってしまう。

 今後は、WatsonにFAQ(Frequently Asked Questions=よくある質問)を読み込ませて、社員の質問に瞬時に回答するようにする。「『取引先の会社が上場したのでお花を贈りたいけれどどうしたらいいのか』といった社員からの質問に対しても、Watsonは回答してくれる」と、青野常務執行役員は話す。

契約書作成業務を50%削減

 法務の相談でも、Watsonがサポートする。ソフトバンクでは年間約8100件の契約書を作成するという。青野常務執行役員は「Watsonに過去の判例や法令などを教え込んで、社員が作成した契約書をチェックさせて修正案まで提示するようにすれば、契約書作成にかかっていた業務の50%は削減できる」と説明する。

 「人事の永遠のテーマである、社員のスキルを生かした最適配置にも取り組む」(青野常務執行役員)という。人事評価や経歴、取得している資格、過去の研修内容などを基に、Watsonに社員一人ひとりの適材配置を回答させるというものだ。

SoftBank World 2015で出展された、ソフトバンクのヒト型ロボット「Pepper」
SoftBank World 2015で出展された、ソフトバンクのヒト型ロボット「Pepper」

 採用における活用も検討。就職活動している学生からの問い合わせをWatsonで回答する。具体的にはヒト型ロボットの「Pepper」に実装し、全国の大学に配置するという。

 エントリーシートへの対応もWatsonを活用する計画。過去にソフトバンクで活躍した社員のパフォーマンスデータを基に、応募者のデータから最適な人材を抽出するといったことを検討している。国内外問わず、エントリーしていない潜在力のある人材の発掘も行う。ソフトバンクに来れば活躍できるスペックの人材かどうか、Watsonに抽出させる。「まさにWatsonは無限の可能性がある。人工知能を先取りして、人事を変えていく」と、青野常務執行役員は意気込む。

 現在、Watsonの日本語化が、日本IBMとソフトバンクで進められており、今年中に完了するもようだ。ソフトバンクは日本IBMと一緒にWatsonを売り込んでいく。そのためにも自社で活用して結果を出すことで、様々な企業にWatsonが業務改善の強力なソリューションであることをアピールする。

この記事をいいね!する