損保ジャパン日本興亜が、IoT(Internet of Things)端末であるドライブレコーダーから得られるデータを基にした新事業を開始し好調だ。損保ジャパン日本興亜リスクと共同で3月から全国展開する企業向け安全運転支援サービス「スマイリングロード」だ。

 損保ジャパン日本興亜の自動車業務部商品企画グループ課長代理である齋藤勇次氏は、「初期投資なしで簡単に導入でき、保険料の削減も期待できるのがサービスの特長。事故経験のある企業を中心に、安価でリスク管理ができることで支持を集め、連日のようにお申し込みやお問い合わせをいただいている。これは異例のこと」と自信を持って語る。

 同サービスは、同社の自動車保険契約者(10台以上のフリート契約限定)に、東芝製の通信機能付きドライブレコーダーを取り付け、GPS(全地球測位システム)での位置データや加速度センサーのデータなどを収集。加速、減速、ハンドリング、エコといった項目別にドライバーの安全運転を診断する。

車内にドライブレコーダーを取り付けて、GPSや加速度センサーからデータを収集する
車内にドライブレコーダーを取り付けて、GPSや加速度センサーからデータを収集する

 ドライバーには、その日の運転を絶対評価で点数化し、安全運転に関するアドバイスをするほか、毎日発表するランキング上位者にプレゼントを贈るなど、ドライバーを「ほめる」仕組みによって安全運転を促進する。点数や評価は朝夜・昼夜などの1日2回、ドライバーが運転しておらずスマートフォンを見やすい時間帯に通知する。

 契約企業の管理者には、ドライバーの危険挙動や事故を検知した際、詳しい画像などがリアルタイムで通知される。部署ごとや同業他社の安全運転点数を閲覧・比較することも可能だ。情報を分かりやすく入手できて状況把握がスムーズになり、その結果、ドライバーへの指導や別の業務に時間を割ける点も評価されている。

 事故が減ることで、事故対応の手間軽減や保険料の割引率が高まる契約企業、事故時の保険金の支払いが減る損保ジャパン日本興亜の両者にとってメリットがある。

データや機能を絞り込めばサービスの質が上がる

管理者向けの画面では、部門別に安全運転の点数を比較できる
管理者向けの画面では、部門別に安全運転の点数を比較できる

 サービス運営側として意識するのは、ドライバーに使い続けてもらい、安全運転を心がけてもらうこと。「なめらかな運転をするほうが、事故件数や損害額も少なくなる。運転診断点数と事故件数には一定の相関があることも分かってきた。国や自動車メーカーでも交通事故削減を掲げた取り組みを積極的に行う今、弊社の事故対応ノウハウを生かし、事故件数を1件でも減らしカーライフに貢献したい」と齋藤氏。

 今後より多くの利用者を獲得するには、利用料金を払う企業の管理者が効果を実感することも欠かせない。そのために彼らから寄せられる声をベースに、数カ月単位で行う大規模なリリースのほか、継続性を保ちつつ安全運転診断の納得感を上げられるような機能改善を毎週のように行う。ドライバーの診断結果に表示される「納得!」「そうかな?(納得できない)」ボタンの集計も、ドライバーの診断への納得度を測る指標として捉え、改善に生かす。

 ただ闇雲に様々なデータを取得しても意味がない。同社が作ってきたのは、ドライバーに喜んでもらい、管理者の業務をサポートするミニマムな機能だ。取得データからは走行ルートを全部出して運行日誌の作成機能を提供することもできる。しかし、安全運転の支援機能に徹することで、料金を月額1800円(契約台数割引あり)と競合より安価に抑えたという。データから何を伝えたいか吟味し、シンプルで安価、かつ質の高いサービスを提供することが成功の秘訣なのだろう。

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