ダイキン工業は、機械学習の一種である深層学習(ディープラーニング)技術を活用して、第一弾としてアフターサービス業務の効率化に乗り出す。スタートアップ企業のABEJA(東京都港区)との協業を始めた。

 「深層学習技術を活用することによって、業務用空調機の修理サポート業務を改善できるのではないかと考えて、この技術に詳しいABEJAさんと連携した。今年度中に同社とどんな協業ができるか判断したい」

 こう話すのは、ダイキン工業電子システム事業部の大藤圭一事業部長だ。同社には業務用空調機の修理サービスにかかわる20年以上のデータがあり、それを深層学習技術で学習して、フィールドエンジニアがどう対応すればいいか、ナビゲートするシステムの開発を目指す。空調機に関する問い合わせがコンタクトセンターなどに来るが、その情報を入力すると、どう動いたらいいのか、案内してくれるという。

 「冷えなくなった」「異音がする」といった空調機の症状をはじめ、空調機の機種や年数、設置環境などいろいろな条件を入力し、過去の統計データを学習した学習済みモデル(アルゴリズム)がどんな故障原因の可能性があるのか、どの部品が必要か、どういう作業をすればいいのかを判断しナビゲートしてくれれば、1回の訪問で的確なサービス業務を行うことができる。

 大藤事業部長は「サービススタッフに適応できれば、営業スタッフにも適応できるはず。業務の改善につながる」と話す。ちなみに電子システム事業部は、ダイキン工業の中でいわゆるITベンダーの役割を担っている。これまで業務用パッケージソフトの開発・販売事業を手掛けてきており、1999年に発売した業務プロセス改革ソフト「SpaceFinder」は、村田製作所やタニタ、明電舎など国内約480社に採用されている。深層学習技術を活用するサービススタッフの業務改善ソリューションも他社への提供を視野に入れている。

ダイキン工業は、深層学習による修理のナビゲーションシステムの開発を検討している
ダイキン工業は、深層学習による修理のナビゲーションシステムの開発を検討している

中長期的には故障予知も

 ダイキン工業は自社空調機向けの遠隔管理サービス「エアネット」を提供しているが、このサービスで中核になっているのが故障の約70%を予知可能という故障予知システムだ。

 このシステムは、世界中にある業務用空調機の設置場所にローカルコントローラーと呼ぶ現地監視端末を設置し、空調機に取り付けられたセンサーがキャッチしている約90項目、総数にして約400のデータを1分ごとに監視する。具体的には、熱交換器の温度や外気温度、高圧圧力、低圧圧力をはじめ、各種機能部品のインバーター周波数や、室内機の液管温度やガス管温度などだ。

 これらのデータがあらかじめ定めた値を超えた場合などに、故障につながる可能性があると判断する。ローカルコントローラーは1時間ごとの故障予知情報を24時間分まとめて、ダイキン工業のエアネットコントロールセンターに送っている。検出したデータを10種類のロジック(ほとんどは条件式)に入れて故障を予知している。

グローバルでの産官学連携を進める技術開発のコア拠点である、テクノロジー・イノベーションセンター(TIC)
グローバルでの産官学連携を進める技術開発のコア拠点である、テクノロジー・イノベーションセンター(TIC)

 「中長期的には、深層学習技術を活用して故障を予知するシステムの開発を進めることによって、故障予知の精度向上を目指す」と、昨年11月大阪府摂津市に開設したテクノロジー・イノベーションセンター(TIC)テクノロジー・イノベーション戦略室の足利朋義・新分野探索担当課長は話す。故障予知システムの開発を進めるTICは、グローバルでの産官学連携を進める技術開発のコア拠点。社内外の知恵を結集する『ダイキン流協創イノベーション』を実現するという。

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