ゴミ箱に設置するセンサーと、それらの情報を集めてビッグデータとして分析するフィンランドのスタートアップのエネボ(Enevo)は2017年中に日本での事業を本格的に始める。現在のところ日本の事務所は約2人の体制。複数のフィールドでの実験に取り組んでいるが、今年後半から代理店経由などでの正式契約を増やしていく考えだ。

 同社のセンサーは超音波を使ってゴミ蓄積量を計測するもので、ゴミ箱の上部にネジやマグネットで装着する。測定したデータは携帯電話の回線でクラウドに送信し、どの程度のゴミが溜まっているのかを集中的に管理できる。北米では省電力な長距離無線サービスのLPWAを使うケースもあるという。

エネボのセンサーを設置したゴミ箱
エネボのセンサーを設置したゴミ箱

 音波で測定するので燃料タンクなど液体の量も測定できるのが特徴だ。温度、振動、内容物の加速度などもセンサーで取得しており、急激な変化を検知した場合には警告を出す。バッテリーは特殊なリチウムイオン電池を利用しており、10年以上持続する。

ゴミ量を予測し回収ルート提案

 エネボの特徴はクラウド側の管理サービスに分析や機械学習の機能を持たせていることだ。フレドリック・ケカライネンCEOは「それぞれのゴミ箱の蓄積のペースを学習し、アラートを出したり、回収の最適ルートを提案したりする」と説明する。

サービスの管理画面
サービスの管理画面

 例えば、英国のノッティンガム市での実験では、センサーを設置することで、半月の間に660回あった収集を68回に減らせたという。2500カ所に設置することで、年間100万ユーロ(約1億3000万円)のコスト削減を目指している。

 また、オランダのアムステルダム市で収集時の堆積率を調査したところ平均で27%だった。そこでセンサーを設置して最適化したところ、収集時に同平均は9割近くになり、収集の回数が3分の1に減った。昨年9月から7000カ所にセンサーを設置し、年間700万ユーロ(約9億1000万円)の削減効果を見込むという。

 日本システムウエアは昨年から米ビッグベリーの「ビッグベリーソーラー」を販売している。ビッグベリーはこの分野の代表とも言える存在で、光学センサーを装着したゴミ箱と管理用のクラウドサービスをセットで販売している。

 日本ではハウステンボスや東海大学などへの納入実績があり、今年5月には東京の表参道にも設置された。各2台の設置で合計6台になった。

 資源ゴミなどの回収ビジネスとIoTの親和性は高い。中国・四国のスーパーマーケットなどにIoT対応回収装置を設置する、えむぼま(愛媛県松山市)の森正彦代表取締役は「現在はリーマンショック前と同様に人手不足の状況となり、地方では回収の効率も悪い。こうしたIoTの回収装置へのニーズが確実に高まっていると感じている」と指摘する。

 日本では欧米のように自治体が街中にゴミ箱を置くケースが少ないため、スマートゴミ箱は普及しないという意見が少なくない。しかし社会環境の変化で新たなニーズが生まれつつある。

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