いすゞ自動車が2015年10月にフルモデルチェンジしたトラック「ギガ」が、順調に販売を伸ばしている。その背景にデータに基づく稼働監視サービスの標準装備がある。その結果、従来車両に比べて故障しにくくなったことが分かった。

 ギガは7月現在、累計販売台数が1万6000台を超えるヒット商品になった。直近の販売台数も前年比20%増の伸びを示している。

 その背景には、低燃費や豊富な安全機能、高積載、快適な運転環境に加えて、無料で標準装備されている遠隔モニタリングがある。運行中の車両データを常時モニタリングする稼働監視サービス「PREISM」によって、エンジンやトランスミッション、PM(粒子状分子や黒煙)微粒子除去装置であるDPD(Diesel Particulate Defuser)といった車両心臓部の故障予測やエコドライブのための情報提供などをしており、顧客満足度を高めているという。まさに、ヒットの裏にデータに基づく故障予測あり、だ。

 ちなみに、故障原因の約7割を占めるのが、車両心臓部(それ以外はタイヤやバッテリーなど)。販売したギガ全車を対象に車両心臓部を常時解析している結果として、「具体的な数字は出せないが、従来車両に比べてギガは明らかに故障しにくいことが分かった」と、稼動サポート推進部の小林紀之部長は話す。

 トラックの稼働状態を常時モニタリングすることによって「故障の予兆」を検知。こうした予兆の状況から適切な整備タイミングを導き出し、効果的な予防整備を実施している。万一故障した際も取得しているデータから故障箇所や原因が事前に把握できるために、いすゞサービス工場に入庫する前に修理箇所の特定、部品の準備などができる。そのために車両の休車時間を最小限に抑えられるという。

DPDレポートの画面イメージ
DPDレポートの画面イメージ

 故障の原因を特定するためには、故障前後で時系列のデータを監視。故障の前後でアクセルは何%踏んでいたかなどが分かる。例えば、「もっと加速したくてアクセルを踏むものの、加速が伴わない」ことから、「エンジンの燃料を噴射する部品に何らかの不調が見られる」と判断。走行に支障を来す故障コードを検知した場合、その故障内容と予想される車両の状況を、インターネットを介して顧客のパソコンで確認できるようにしている。

 いすゞはギガの発売前から商用車の顧客である運送会社などに協力を仰いで、約4万台のデータをリアルタイムで収集してクラウド上に蓄積してきた。例えば、エンジンが故障したトラックで、ある部品を交換することによって故障が直った場合には、その部品の不調がエンジン故障の原因であるとする。そしてこうした修理情報を教師データとして、故障原因を特定する機械学習のアルゴリズムを開発した。

 アルゴリズムの正解率は昨年の段階で96%以上だったが、「現在ではさらに正解率は向上している」(小林部長)と言う。

 また、DPDの機能を維持するためのフィルター内にたまったPMの燃焼状況(再生状況)や、故障コードをパソコン画面上のアイコンで色分けして分かりやすく表示する。例えばDPDの再生状況を確認することによって万一の不調を監視し、路上トラブルを防ぎ、運行への影響を最小限に抑える。

メンテナンスのパッケージ化

 さらにいすゞは、車両の維持・管理に関わる費用をリース料に含めた「PREISM CONTRACT」を有料で提供している。適切な予防整備がパッケージングされており販売したギガの1~2割が、このサービスを受けている。車両に不調が発生する前に、データに基づく適切なサービスを施し、車両の安定稼働を支えている。

 なお、緑ナンバーのトラックは、3カ月ごとの法定点検が義務づけられている。いすゞでは、全国247カ所にサービス拠点がある。

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