国内生理用品やおむつ市場でシェアトップを快走するユニ・チャーム。生理用品のつけ心地を、感性データによって定量化して検証した。品質への強いこだわりが商品力につながっている。

 ユニ・チャームは様々な脳波研究を通じて、生理用品でつけ心地の良いスリムナプキンを装着すると、ストレスを感じにくいことを実証した。こうした脳波データによる検証結果や吸収物性、物理特性の評価結果などを受けて、4月に「ソフィ エアfitスリム」を発売した。

 脳波データによるストレスの検証は、香川県観音寺市にあるユニ・チャームのテクニカルセンターで行った。このテクニカルセンターは、国内シェアトップの生理用品やおむつなどの商品開発を引き受けている同社の心臓部とも言える研究開発拠点だ。

感性アナライザを装着して歩行

 今回ユニ・チャームは、ストレスという感性データを測定するために、慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科の満倉靖恵准教授と電通サイエンスジャム(東京都港区)が共同開発した「感性アナライザ」を利用した。

 感性アナライザは、ヘッドセットを頭に装着して簡易的に計測した1秒ごとの生体信号を解析して、5つの項目「好き」「興味」「集中」「ストレス」「眠気」について評価結果をビジュアル化できる簡易脳波計だ。

感性アナライザを装着して、ルームランナーを使って歩行し、ストレスを測定。タブレットには、リアルタイムでストレスの値(0~100)が表示される
感性アナライザを装着して、ルームランナーを使って歩行し、ストレスを測定。タブレットには、リアルタイムでストレスの値(0~100)が表示される
感性アナライザを装着して、ルームランナーを使って歩行し、ストレスを測定。タブレットには、リアルタイムでストレスの値(0~100)が表示される

 被験者はヘッドセットを装着するだけなので、他の脳波測定機器より自然な環境でテストを実施できるのが特長だ。

 5月、ユニ・チャームは脳波データによる検証のうち、2つの検証結果を発表した。1つが「感性変化を測定し、月経周期を月経期、卵胞期、排卵期、黄体期に区分けし解析したところ、生理周期との相関傾向があり、また、月経期はストレスが高い傾向にあった」。もう1つが「生理用ナプキンの違いにおけるストレスを検証したところ、つけ心地の良いスリムナプキンは、一般的なナプキンに比べて、装着時にストレスを感じにくい女性が2.3倍いることを実証できた」という内容だ。

 後者の検証について、詳しく説明する。検証対象は、20~30代女性で非月経期の20人。検証期間は、2015年9~10月と2016年1~3月の2つの期間にまたがって実施した。

 感性アナライザを装着して「ショーツのみ着用」「つけ心地の良いスリムナプキンを装着」「一般的な生理用ナプキンを装着」という3つのケースについて、「安静‐装着‐安静‐歩行‐安静」の動きを繰り返して感性を測定した。

 歩行時にはルームランナーを使った。安静や歩行はそれぞれ5分ずつ、所要時間は合計20分強かけた。安静時間には、被験者に座った状態で、眼を開いたまま壁を見て過ごしてもらった。

 最初にショーツのみの着用で「安静‐装着‐安静‐歩行‐安静」の動きを行った。つけ心地の良いスリムナプキンと一般的な生理用ナプキンの検証順は、ランダムに割り振った。

アンケートとストレス値に相関

安静、歩行、安静を各5分ずつ繰り返して測定したストレス値の波形グラフ
安静、歩行、安静を各5分ずつ繰り返して測定したストレス値の波形グラフ

 検証結果は、右図のグラフだ。「つけ心地の良いスリムナプキン」では、Λ型の波形になった。これは「ショーツのみ着用」とほぼ同じ波形になっている。その一方で、「一般的な生理用ナプキンを装着」の場合は、V型の波形になった。

 満倉准教授を中心に、ユニ・チャームからは生活科学研究グループの寺岡裕美氏ら4人が参加した研究チームは、次のような検証結果の考察を行っている。

 「感性アナライザで測定した感性データから『つけ心地の良いスリムナプキン』を装着した時は、脳波の波形がΛ型を示し、ショーツのみでも同様の傾向が得られた。一方で、『一般的なナプキン』の装着時は異なるV型を示した。このことから『一般的なナプキン』は装着していること自体にストレスを感じ、『つけ心地の良いスリムナプキンの装着』は、ショーツのみと同様に、着けていることにストレスを感じていないことが示唆された」

 また、アンケートによる評価も実施しており、その結果から「『つけ心地の良いスリムナプキン』は、『つけ心地が良い』『体に馴染む感じ』という点で高い評価をいただいたことから、ナプキンのつけ心地が、装着によるストレスと相関があることが推測される」としている。

 さらに研究チームはこう考察した。

 「今回、『ショーツのみ』『つけ心地の良いスリムナプキンの装着』で確認されたΛ型は、ストレスが無い状態から歩くことによるストレスを感じ、歩き終えるとストレスが無くなったことを示している。一方で『一般的なナプキンの装着』で確認されたV型は、ナプキン装着自体のストレスを感じる状態が、歩くことで気が紛れ、歩き終えると再びナプキンによるストレスを感じることを示したものになる。今回の検証によって、ナプキンのつけ心地とストレスに相関性があることに加え、装着違和感の無いナプキンを選択することで、ナプキン装着によって生じるストレスを軽減できることが実証できた」

声にならない心理を見える化

 ユニ・チャームの2016年12月期連結売上高は、前年比5.2%増の7770億円、営業利益は前年比8.8%増の870億円を見込む。売上高営業利益率は11%を超える収益性の高さを誇る。その背景には、国内生理用品やおむつなどでナンバーワンシェアを維持していることがある。脳波アナライザによる今回の品質検証だけでなく、これまでも様々な感性データを計測して、検証してきた。

 例えば、名古屋大学と共同で、「はいはい期」の紙おむつ交換時の乳幼児のストレスを研究した。パンツ型の紙おむつ交換では、テープ型と比較して乳幼児(生後12カ月以下の13人)の唾液中のアミラーゼが約12%減少し、ストレスが減ったことが確認できたという。

 品質を高めるために様々な研究と検証に努めている。「乳幼児からお年寄りまで声になっていない心理を科学的に見える化したい」と、ユニ・チャームの生活科学研究グループの石川浩樹氏は話す。

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