戸建て住宅向けに地盤調査や建物検査を手がける、LIXILグループのジャパンホームシールド(東京都墨田区)が、自社が手掛けてきた100万棟以上の住宅の地盤調査データと各種のオープンデータを組み合わせた「地盤サポートマップ」を、6月5日からWebサイト上で一般向けに公開し始めた。地盤の重要性を広く知らしめ、地盤調査の需要を拡大するのが狙いだ。

 ジャパンホームシールドが調査した地点(戸建て住宅が建つ土地)の地盤の強さを「地耐力」と名付け、サイト上に住居表示されたマップの上に色付きの丸印で示している。調査対象は100万棟以上で、「1つの丸印につき約5カ所の地盤調査を実施している」(技術統括部技術推進部部長の小尾英彰氏)ことから、同社が抱える地盤調査データは日本全国で500万以上に達する。

 それらのデータを解析して地盤の持つ傾向を見いだし、各住宅で計測した5カ所のデータの総合評価と合わせて、「強い地盤」から「弱い地盤」まで4段階で丸印を色分けしている。ユーザーは丸印の色で、興味のある地点の地盤の強さが簡単に分かる仕組みだ。マップは北海道から沖縄まで全国をカバーする。一定以上の縮尺の地図では丸印を表示しないことで、調査対象者のプライバシーに配慮している。

地耐力と微地形区分図を組み合わせて1枚のマップで表示
地耐力と微地形区分図を組み合わせて1枚のマップで表示

事業者向けサービスを一般向けに改良

 もともとジャパンホームシールドでは2009年から、各地の工務店など事業者向けに「地盤サポートマップ」を制作・提案してきた。それが2011年の東日本大震災の後、一般のユーザーの間でも、「新築戸建て住宅を立てる土地や中古戸建て住宅が建っている土地の地盤の強さを知りたいというニーズが高まった」(技術統括部技術推進部主任の波田野夏枝氏)。

 そこで、 同社が調査を手がけた戸建て住宅数が100万棟を突破する今年を機に、「地盤の重要性を一般のユーザーにも広く知ってもらい、将来、戸建ての建築や売買時に地盤調査を実施してくれることを狙って」(小尾氏)、一般向けバージョンの地盤サポートマップを新たに制作し、公開に踏み切ったのだ。

 一般向けにサイト経由でマップを公開するに当たり、気をつけたのが「マップ上に丸印を描く描画スピード」(波田野氏)だった。スマートフォンを使って気軽にアクセスする一般ユーザーは、マップの表示が遅かったらたちまち興味を失ってしまう可能性が高い。そこで、「描画の方法を工夫して、大量の丸印を描かなければならないエリアでも、すぐに表示できるようにした」(小尾氏)。実際、一般向け地盤サポートマップに最もアクセスの多いデバイスはパソコンではなく、予想通りスマホだという。

 地盤調査だけなら自宅周辺などを1回見て終わり。再訪する人は少ないかもしれない。そこで一般向けでは事業者向けと異なり、オープンデータを活用して地図情報サイトとしての魅力を高めている。全国の地質図や地形区分図、過去に空中から地面を撮影した空中写真(1945年から90年までの45年間を4~5年刻みにして計6種類用意)、活断層帯など、国土地理院が供給するオープンデータをAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を使って取り込み、表示できる。

 地耐力と地形区分図など別々の2種類のマップを組み合わせて同一エリアの1枚のマップとして示すのはもちろん、左右二画面に分けて、2つのマップを同一エリアについて別々に表示することも可能なので、昔と今の町の様子を空中写真で比較したり、同一エリアの地耐力と地質図を比べたりといったこともできる。また、小学校の校区や避難所の位置など、実際の生活や災害時の避難に役立つ情報も収集し、表示できる。

同一エリアを、旧版地形図(左)と直近の空中写真(右)で比べられる
同一エリアを、旧版地形図(左)と直近の空中写真(右)で比べられる

 「サービス開始後10日間で15万件のアクセスがあるなど、手応えは予想以上」と波田野氏は語る。このままマップを利用するユーザーが増え続け、一般のユーザーにも地盤の重要性が広く知れわたるようになれば、狙い通りジャパンホームシールドの収益増につながる可能性がある。既に同社では、スタートダッシュの勢いを駆って、他のオープンデータを取り込んでマップの機能を高める準備を着々と進めている。自社のビッグデータとオープンデータを組み合わせてマーケティングに活用する好例になるかもしれない。