慶応大学は神奈川県藤沢市とともに、IoTを活用した大気情報の収集やゴミ収集の最適化に乗り出している。今年6月中に100台のゴミ収集車へのセンサーの設置を完了する。今後、収集車にカメラを取り付けて、路面の劣化などの状況を把握したり、各家庭で出すゴミの量を推測したりする計画だ。

 大気の情報を収集し、分析する「スマート藤沢プロジェクト」として2016年度から取り組みを本格化させた。環境省の大気センサーは藤沢市内に4カ所あるが「それぞれの市民に対して正確な情報を伝えるには、数が不十分だった」(慶応大学 環境情報学部の中澤仁准教授)という。

 そこで、市内を循環する“モノ”としてゴミ収集車に着目。後付けで環境センサーと通信モジュールを搭載し、情報を収集することにした。収集する情報は、PM2.5、紫外線、照度、温度、湿度、排気ガス、気圧などである。毎秒200キロビットの速度で携帯電話網に常時接続し、情報を送る。およそ4時間の収集で300MBのデータ量になるという。

藤沢市のゴミ収集車の運転席の上部に装着したセンサーと通信機器。IoTソリューション企業のぷらっとホームが提供するゲートウエイ機器を利用し、センサー情報を集約し送信している
藤沢市のゴミ収集車の運転席の上部に装着したセンサーと通信機器。IoTソリューション企業のぷらっとホームが提供するゲートウエイ機器を利用し、センサー情報を集約し送信している

 こうして取得したデータは藤沢市と協議したうえで、今年中に公開していく。API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)での提供については「アプリケーションが増えるなどメリットがあり多くの人の役に立つと思うが、現時点では未定」(中澤准教授)。

カメラで路面撮影へ

 今後2~3カ月で一部の収集車にカメラも搭載する。まずは路面を撮影して、路面標示のかすれや路面の凹凸、水たまりなどを検知する。精度を上げるためにディープラーニングの手法なども活用していく。

 さらに「ゴミ袋を撮影し、ディープラーニングなどで学習することで各家庭のゴミの種類や量が把握できないものかと思っている」(中澤准教授)という。藤沢市はゴミ収集の袋を有料化しており、各家庭から個別にゴミを収集している。各家庭のゴミの量や種類を把握できれば、収集の頻度やルートを最適化しやすい。高齢になると弁当を利用するケースが増え、プラスチックの割合が上がる可能性がある。中澤准教授は「ゴミの種類を把握できれば、焼却場の運用の最適化にもつながる」とみている。

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