トラックなどでの荷物の輸送に使うパレットのレンタル事業を手掛けるユーピーアール(UPR)は、ICタグを活用して荷物の場所を追跡できる「スマートパレット」を開発した。パレットの付加価値を高め、レンタル料の引き上げやコンサルティング案件の獲得を目指す。

 UPRは約330万枚のパレットを自社で保有し、それを企業にレンタルする業界2位グループに位置する。2015年から年間20万~30万枚のペースで交換していき、「およそ10年間で全量をスマートパレットにする」(中村康久常務取締役)との計画だ。

 NTTグループの持つICタグの技術を取り入れることで、多数かつ遠距離にあるパレットの読み取りを可能にした。

 具体的にはタグにバッテリーを搭載し自ら電波を出すアクティブ方式のタグを活用しており、見通しのよい場所では電波が300メートル程度届くという。そうでない場所でも30~50メートルは通信できる。「パレットの上に多くの荷物が載っていたり、倉庫の面積が広くてもパレットのIDを取得できる」(IT事業統括本部の清水雅史スマートパレット推進室長)。

 倉庫などには親機となるリーダーを設置し、クラウド側にタグのIDなどのデータを送信。パレットのデータを集約したり可視化したりする。1台のリーダーでパレットを5万個まで管理できるという。

ICタグを活用して荷物の場所を追跡できる「スマートパレット」
ICタグを活用して荷物の場所を追跡できる「スマートパレット」の仕組み

 UPRはパレットの場所などの情報を提供するAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を提供する。導入企業側はAPIを利用して自社の物流システムなどと連携させて、タグのIDから荷物の場所を管理できるようになる。例えば、倉庫にトラックが到着したと同時に、どのパレットが搭載されているのかも分かる。

倉庫内の位置特定も可能に

 現時点では指定したIDを持つパレットがどの倉庫にあるのかまでしか特定できないが、今後ハンディ式のリーダーを導入することを検討している。特定のパレットがいつ、どの場所に置かれたかが分かるようになり、先に格納した荷物を先に搬出したり、保管時の現物確認に活用したりできる。タグには加速度センサーが内蔵されており、移動したことを検知することが可能だ。

 また、パレットには固有のバーコードが付いている。フォークリフトにバーコードのリーダーを搭載することで、どのIDのスマートパレットを運んでいるのかが分かるようになる。

 UPRはスマートパレットの導入で収入増を狙う。「例えば、企業に対するパレットのレンタル料を1日1円引き上げることができれば、330万枚で1日330万円の増収となる」(清水室長)。また、位置を精緻に把握できるので、貸し出しているスマートパレットの紛失も防げる。

 UPRが狙うのは企業が自社で持っているパレットの市場である。「自社での保有をやめてすべて当社のパレットに置き換えてほしい。その点では競合他社にタグ自体を外販することも考えている」(清水室長)。 タグは長野日本無線が生産している。タグは1個数千円とみられ、量産が進めばスマートパレットのコストを引き下げられる。タグに内蔵するバッテリーは10年程度持つといい、パレット自体の寿命とほぼ同じだ。

 UPRは現在、自社の2拠点で4000枚のパレットで動作を検証中で、今年中に企業との実証実験を始める計画。タグの無線通信には920メガヘルツの帯域を利用しており、海外でも利用可能という。UPRはスマートパレットの移動情報をビッグデータとして集約し、経済動向の把握などにも活用していく考えだ。

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