関西電力は6月、離れて暮らす家族などの生活パターンを電力使用状況から確認できるサービス「はぴeまもるくん」の提供を始めた。エネルギー自由化による競争を勝ち抜くため、スマートメーターなどから得られるデータを活用して顧客接点を強化する狙いだ。

 はぴeまもるくんは主に2種類のサービスを提供する。その1つがスマートメーターを活用したサービスだ。「1日の始まりがいつもと異なる時」「1日の終わりがいつもと異なる時」「使用量に一定の割合変化があった時」にメールやLINEで通知が届く。サービス利用料などは無料。

30分・10ワット単位のデータ

はぴeまもるくんでは3時間単位で使用状況を確認できる
はぴeまもるくんでは3時間単位で使用状況を確認できる

 活用するデータはスマートメーターの仕様に基づき30分・10ワット単位の電力使用量。申し込みを受け付けると30日間のデータを蓄積し、普段の生活リズムのパターンを推定する。このアルゴリズムがサービスの肝となっており、特許出願中だ。

 3種類の通知を発する上では、「単に電力使用量の平均をとるのではなく、30日間の使用量を並べてもっともらしいパターンを、確率・統計手法により見出した」と、お客さま本部リビング営業計画グループの山本和孝氏は説明する。

 「一定の割合変化があった時」と異常を検知する場合も、一律に普段と何キロワット異なるから通知を出すというのではなく、各家庭の普段の使用パターンからしきい値を一軒ごとに定めているという。

 2015年9月から1年間、奈良県立医科大学との共同研究により電力使用から生活リズムを推定する方法を開発した。

 ただし、まだ課題も残る。

 「炊飯器のようにタイマーで動く機器があり、必ずしも生活パターンを反映していないことがある。また春先は電力使用が少ないので生活パターンがつかみにくい」(お客さま本部リビング営業計画グループ副長の三浦生也氏)。そこで、「1カ月に1度パターンを洗い直している。長く使ってもらうと正答率が上がっていく」(同)ことで対応していく。

はぴeまもるくんの利用イメージ
はぴeまもるくんの利用イメージ

 生活パターンを推定する分析基盤には富士通の「マーケティングAIコンテナ環境」を利用する。関西電力の環境で30分値データを個人情報を除いて暗号化して、富士通の分析基盤とデータ連携。ロジックを実行した分析結果を関西電力側で受け取り、アラート判定をして通知を送っている。

 関西電力の顧客家庭におけるスマートメーターの累計導入台数は、約750万台と半数を超えたところ(2017年3月末実績)。そこで、未導入の家庭でも利用できる見守りサービスも提供する。

 通信機能付き電子玩具「Fridgeezoo WiZ for はぴeみる電」を使ったサービスだ。この電子玩具を冷蔵庫に置くと、開けるたびに「おはようございます」「誕生日おめでとう」「今日の天気は晴れです」といったメッセージを音声で発する。メッセージは約130パターン用意。開閉情報はAndroid端末を介してネットに接続し、遠く離れた家族に通知される。12時間開閉がない場合も通知する。

 サービス開始に当たり500人の無料モニターを募集しており、6月中旬以降に電子玩具を送付する。

 Fridgeezooはソリッドアライアンス(東京都中央区)が開発・販売する電子玩具。関西電力が本サービス開始に当たって、通信機能を加えた玩具の開発を依頼し、1年3カ月ほどでサービス開始にこぎ着けた。機器はモニター向けには無償提供し、正式サービス開始時には数千円で販売する予定だ。

価格勝負からの脱却へ接点強化

 はぴeまもるくんは、電力料金の確認ができるサービス「はぴeみる電」の一環として提供する。

 電力自由化、ガス自由化が始まり、関西電力としても「かなり他電力への乗換が発生している。携帯電話以上に商品の差異化はできないので価格勝負になりがち。はぴeみる電は電力料金の確認、クーポン情報などで月に2~3回はサイトに来てもらい、顧客接点を強くする狙いがある」(三浦氏)。見守りサービスなど電力以外のサービスも利用してもらうことで継続率が向上したり、サービスの魅力で新規契約に結びついたりしているかを検証していく。

 はぴeまもるくんの開始は、はぴeみる電サービス強化の一環となる。はぴeみる電の4月末時点での加入件数は、230万件を超えた。4月にはインテルと、はぴeみる電利用者を対象にした環境センサーを使った実証実験の実施を発表している。顧客接点の場として、サービスをさらに強化していく考えだ。

使用電力の確認などができる「はぴeみる電」のマイページ
使用電力の確認などができる「はぴeみる電」のマイページ
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