様々なスペースの貸し借りができるマーケットプレースを運営するスペースマーケット(東京都新宿区)は、レンタル可能なスペースの登録件数が6000件を超えており、黒字化への道筋がついた。利用者の満足度と稼働率を高めるためにデータ分析を駆使、全スペースにスコアを自動付与するほか、6月には新機能「予約難易度」の表示を開始した。

 2014年1月に設立されたスペースマーケットは、個人や企業が持っている家や会議室から、映画館やお寺、自治体所有の島といったあらゆるスペースを貸し借りできる。約6300件のスペースが登録されている(5月23日現在)。重松大輔社長が重視するKPI(重要業績評価指標)は、スペースの登録件数と稼働率だ。

 「月間で数千件の申し込みと問い合わせがある。まだ投資フェーズだが、登録スペースを増やすとともに、稼働率を高めている。今の登録数でも稼働率を高めれば黒字化できる」(重松代表)と言う。

実名で書くレビューに価値がある

 スペースマーケットの主な利用目的は、パーティー、イベント、会議・研修、撮影の4つ。これらで約8割になる。サービス開始後の半年は、登録しているスペースの数も利用者の数も少なく、なかなか軌道に乗らなかった。だが、メディアで取り上げられるようになって認知度が高まるにつれ、登録スペースの数が増え、利用者も増えていったという。

 シェアリングエコノミーでいかに成功するか。一般社団法人シェアリングエコノミー協会の代表理事も務める重松代表は、「個人認証やレビューの仕組み、決済、保険、カスタマーサポートなどを整備して安心感のあるマーケットプレイスを形成し、場所(やモノ)を貸す人(所有者=オーナー)と利用する人(ユーザー)の両方を満足させて、増やしていかなければならない」と語る。

 スペースマーケットの安心感を高める上では、「スペースの所有者と利用者双方が実名で書くレビューに大きな価値がある」(重松代表)。レビューがたまっていくことでスペースの所有者、利用者双方の信用性がより可視化され、安心してスペースを借りることができるようになったという。レビューの仕組みの精度とレビューの蓄積が、サービス自体の信用につながる。

 このレビューの件数は5000件を超えた。質の高いレビューの登録促進のために、利用者と所有者が互いにレビューし合うようにし、利用した当日にレビューを書いてほしいというメールを双方に送り、レビューが両方ともそろわないとサイトで公開しないようにしている。

 当初は利用者だけがレビューを書いていたが、レビューを書く意欲が湧かないことが分かり、レビューし合う形式に変更したのだ。どちらかがレビューを書くと、「あなたへのレビューが書かれました。あなたも書かないと読むことはできません」という通知のメールが届く仕組みにした。そのことによって利用者も所有者もレビューを書いてくれるようになったという。

 また、「レビューを書いてください」というリマインドメールの配信も、当初は利用日の翌日だったが、当日の利用後すぐに変えたうえに、その後のリマインドメール回数を増やしたところ、レビュー件数が約20倍に増えた。

すべてのスペースにスコアを付与

 利用者の満足度をより高めるために、データを有効活用している。すべてのスペースにスコアを自動で付けている。「実際によく使われている」とか、「よく見られている」とか、「キャンセルがない」とか、「スペースのオーナーがすぐに回答してくれる」とか、十数項目に関してそれぞれスコア作成エンジンがスコアを出して、それぞれに重み付けなどをしながら総合スコアを算出している。十数項目の中には、利用者による5段階評価も含まれている。「より満足度の高いスペースにたどり着く確率を高めるようにしている」とスペースマーケットの担当者は話す。

 6月には、データを活用した新機能として「予約難易度」を表示するようになった。利用者からの予約リクエストに対するオーナーの承認率に応じて、スペースごとに予約が「しやすい」「普通」「ややしづらい」と表記している。その狙いは、ユーザーの失敗体験の減少と期待値の調整のためだという。

6月から、データを活用した新機能として「予約難易度」を表示している
6月から、データを活用した新機能として「予約難易度」を表示している

 スペースマーケットでは7月から、民泊を含めて、ホテルや旅館といった宿泊スペースも利用できるようになる。また、個人や企業のスペースだけでなく、必要となればスペースマーケット自身が所有して貸し出すことも検討している。